出資証券と株式発行における資本政策の考察

出資証券株式とは

出資証券株式とは、日本の会社法において、株式会社が発行する株式のうち、株主総会における議決権を有しない代わりに、剰余金の配当や残余財産の分配について、議決権を有する普通株式よりも優先的な権利を付与された株式のことを指します。発行会社にとっては、経営支配権を維持したまま資金調達が可能となり、投資家にとっては、高い配当利回りや安定的な投資収益が期待できるというメリットがあります。

出資証券株式の特徴

出資証券株式には、以下のような特徴があります。

1. 議決権がない

出資証券株式の最大の特徴は、株主総会における議決権が認められていない点にあります。これは、会社法上、議決権のない株式の発行が認められているためです。ただし、会社法や定款で定められた場合には、特定の事項について議決権を行使できる場合があります。

2. 優先的な配当請求権

出資証券株式は、議決権がない代わりに、剰余金の配当を受ける権利において、普通株式よりも優先的に扱われます。具体的には、会社が剰余金の配当を行う場合、まず出資証券株式に対して、定款で定められた配当率または金額が優先的に配当されます。その後に残った剰余金がある場合に限り、普通株式に対して配当が行われます。

3. 優先的な残余財産分配請求権

会社が解散した場合、残余財産の分配についても、出資証券株式は普通株式よりも優先的に扱われます。まず、出資証券株式に対して、定款で定められた金額または割合で残余財産が分配されます。その後に残った財産がある場合に限り、普通株式に対して分配が行われます。

出資証券株式の発行メリット

企業が出資証券株式を発行するメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

1. 経営支配権の維持

出資証券株式は議決権がないため、発行会社は経営支配権を維持したまま資金調達を行うことができます。これは、創業家や経営陣が経営権を維持したい場合などに有効な手段となります。

2. 資金調達コストの抑制

出資証券株式は、議決権がない代わりに、配当金の優先や高い配当率などの優遇措置が設けられていることが一般的です。そのため、普通株式よりも低い金利で資金調達を行うことが可能となります。

出資証券株式への投資

投資家にとって、出資証券株式は、高い配当利回りや安定的な投資収益が期待できるというメリットがあります。特に、株式市場全体の動向に左右されにくいという点で、安定志向の投資家に適していると言えます。ただし、議決権がないため、会社の経営に意見を反映させることができないという点は留意が必要です。

出資証券株式に関する今後の展望

近年、企業の資金調達手段の多様化や、投資家のリスク許容度の変化などを背景に、出資証券株式への注目が高まっています。今後も、企業の資金調達ニーズや投資家の投資スタンスの変化に応じて、出資証券株式の発行や投資が活発化していく可能性があります。