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未公開株譲渡と株式発行の効力に関する一考察

更新:2024-06-08 04:31:06読む:121

株券発行前の株式譲渡の効力に関する考察

株式会社において、株式は重要な要素であり、その譲渡は会社の支配関係や株主の権利義務に大きな影響を与える。特に、株券発行前の株式譲渡は、実務上頻繁に発生するにもかかわらず、その効力については争いとなるケースも少なくない。本稿では、株券発行前の株式譲渡の効力について、判例や学説を踏まえつつ、考察していく。

1. 株券発行前の株式譲渡の意義

株券発行前の株式譲渡とは、会社設立時や新株発行時など、株券がまだ発行されていない段階における株式の譲渡を指す。会社法上、株式は株券を発行する旨の定款の定めがない場合には、株券を発行しなくても、その譲渡は有効とされている(会社法105条、108条)。

株券発行前の株式譲渡

このような株券発行前の株式譲渡の効力が問題となるのは、株券が発行されていないため、譲渡の事実が外部から確認しづらいという点にある。そのため、後に会社や第三者との間で、譲渡の有無や時期、譲渡された株式数などを巡って争いが生じることがある。

2. 判例・学説の動向

株券発行前の株式譲渡

株券発行前の株式譲渡の効力については、判例・学説において様々な見解が示されてきた。主な争点としては、(1)譲渡の対抗要件、(2)善意取得、(3)会社に対する対抗要件などが挙げられる。

(1) 譲渡の対抗要件

株券発行前の株式譲渡において、譲受人が譲渡を対抗するためには、どのような要件を満たす必要があるのか。判例は、原則として、会社に対する株式譲渡の通知または承諾を対抗要件としている(最判昭和47年12月14日など)。これは、株券が発行されていない段階では、会社が株主名簿を作成することができず、真の株主を確定することが困難であるため、会社に対する通知・承諾によって、譲渡の事実を明確にする必要があるという考え方による。

(2) 善意取得

株券発行前の株式譲渡の効力に関して、譲渡人が二重譲渡を行った場合、後の譲受人が善意であれば、先に譲渡を受けた者に対抗できるのかという問題がある。判例は、株券発行前の株式譲渡においても、善意取得の制度が適用されるとの見解をとっている(最判昭和47年12月14日など)。

(3) 会社に対する対抗要件

譲受人が会社に対して株券発行前の株式譲渡の効力を主張するためには、どのような要件を満たす必要があるのか。判例は、原則として、会社に対する株式譲渡の通知または承諾が必要であるとしている。ただし、会社が譲渡の事実を知っていた場合や、会社に悪意または重過失がある場合には、通知・承諾がなくても対抗できるとする判例もある(最判平成16年7月13日など)。

3. 実務上の留意点

株券発行前の株式譲渡の効力に関する紛争を避けるためには、実務上、以下のような点に留意する必要がある。

譲渡契約書を作成し、譲渡の時期、株式数、譲渡対価などを明確にしておく。

可及的速やかに会社に対して株式譲渡の通知を行い、承諾を得る。

株券発行会社は、株主名簿を作成し、株主の変動状況を適切に管理する。

株券発行前の株式譲渡の効力は、会社の経営や株主の権利義務に大きな影響を与えるため、その法的効果を十分に理解した上で、適切な対応をとることが重要である。

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