発行済株式総数減少と企業価値変動分析

発行済株式総数減少とは

発行済株式総数減少とは、企業が自社の発行済株式の数を減少させる行為です。これにより、企業の1株あたりの価値が上昇し、株主の価値が向上します。

発行済株式総数減少のメリット

発行済株式総数減少には、以下のようなメリットがあります。

1株あたりの価値の上昇：発行済株式の数が減少すると、1株あたりの価値が上昇します。これは、企業の総価値が変わらない場合でも、1株あたりの価値が上昇するためです。

EPS（1株当たり利益）の上昇：EPSは、企業の純利益を発行済株式数で割ったものです。発行済株式総数減少により発行済株式数が減少すると、EPSが上昇します。

PBR（株価純資産倍率）の改善：PBRは、株価を1株あたりの純資産額で割ったものです。発行済株式総数減少により1株あたりの純資産額が上昇すると、PBRが改善されます。

発行済株式総数減少のデメリット

発行済株式総数減少には、以下のようなデメリットもあります。

浮動株の減少：発行済株式の数が減少すると、浮動株が減少します。浮動株とは、市場で取引可能な株式のことであり、発行済株式総数減少により浮動株が減少すると、株式の流動性が悪化する可能性があります。

資金調達の制限：発行済株式総数減少を行うと、企業が将来株式を発行して資金調達することが困難になる可能性があります。これは、株式を発行すると発行済株式総数が増加するためです。

発行済株式総数減少の手続き

発行済株式総数減少を行うには、以下の手続きが必要です。

1. 取締役会の決議：発行済株式総数減少について、取締役会で決議を行います。

2. 株主総会での承認：取締役会の決議後、株主総会を開催し、発行済株式総数減少について株主の承認を得ます。

3. 定款変更の登記：株主総会で承認されると、定款を変更し、発行済株式総数減少を登記します。

発行済株式総数減少の事例

発行済株式総数減少の実例として、以下のようなものがあります。

アップル社：アップル社は、2018年に自社株買いを実施し、発行済株式総数を約1億株減少させました。これにより、同社の1株あたりの価値は上昇しました。

アマゾン社：アマゾン社は、2019年に自社株買いを実施し、発行済株式総数を約5,000万株減少させました。これにより、同社のEPSが上昇しました。

発行済株式総数減少と資本構成

発行済株式総数減少は、企業の資本構成に影響を与えます。

資本金の減少

発行済株式総数減少に伴い、企業の資本金が減少します。資本金は、株式の発行額の合計であり、発行済株式総数減少により株式の発行額が減少すると、資本金も減少します。

自己資本の比率の上昇

発行済株式総数減少により、企業の自己資本の比率が上昇します。自己資本の比率は、自己資本を総資産で割ったものであり、発行済株式総数減少により自己資本が減少せず、発行済株式総数が減少すると、自己資本の比率が上昇します。

発行済株式総数減少と株式市場

発行済株式総数減少は、株式市場に以下のような影響を与えます。

株価の上昇

発行済株式総数減少により、企業の1株あたりの価値が上昇するため、株価が上昇する傾向があります。

需給関係の改善

発行済株式総数減少により、浮動株が減少するため、株式の需給関係が改善する傾向があります。これにより、株式市場における株式の需給は逼迫し、株価の上昇につながります。

発行済株式総数減少のまとめ

発行済株式総数減少は、企業が自社の価値を向上させるために利用できる効果的な手法です。ただし、浮動株の減少や資金調達の制限など、デメリットもあることを考慮する必要があります。企業は、発行済株式総数減少を行う前に、メリットとデメリットを慎重に検討する必要があります。