株式借用書担保を活用した証券金融取引高度化

株式借用書担保の概要

株式借用書担保とは、債務者が債権者に対して負っている債務の担保として、債務者が保有する株式を債権者に提供する担保のことです。この担保は、主に金融機関からの融資を受ける際に利用されます。

株式借用書担保の仕組み

株式借用書担保は、以下の3つの契約によって成立します。

金銭消費貸借契約：債権者（通常は金融機関）が債務者（企業）に対して、お金を貸し出す契約

株式借用契約：債務者が債権者に対して、自己の株式を貸し出す契約

質権設定契約：債務者が債権者に対して、株式借用契約に基づく債権を担保として、株式に質権を設定する契約

これらの契約により、債務者が返済を怠った場合、債権者は質権に基づき、担保として提供された株式を処分し、その売却代金をもって債権の回収を図ることができます。

株式借用書担保のメリット・デメリット

債務者側のメリット

比較的容易に資金調達が可能：株式を担保とすることで、無担保融資よりも高額な融資を受けやすくなります。

経営権を維持できる：株式を譲渡するわけではないため、経営権を維持したまま資金調達が可能となります。

債務者側のデメリット

株式の流動性に制約：担保として提供している間は、株式を自由に売却することができません。

株価下落のリスク：担保となっている株式の価値が下落した場合、追加の担保提供を求められる可能性があります。

債権者側のメリット

債権回収の確実性向上：担保があるため、債務者が返済を怠った場合でも、株式を処分することで債権を回収できる可能性が高まります。

債権者側のデメリット

株価変動リスク：担保となっている株式の価値が下落した場合、債権回収額が減少する可能性があります。

処分の手間：債務者が返済を怠った場合、株式を処分する必要がありますが、売却先を探すなどの手間がかかります。

株式借用書担保の設定

株式借用書担保を設定する際には、以下の点に注意する必要があります。

担保価値の評価：担保とする株式の価値を適切に評価する必要があります。株価は変動するため、評価額よりも実際の売却価格が下回る可能性もあります。

契約内容の確認：株式借用契約、質権設定契約の内容をよく確認し、不利な条項が含まれていないかを確認する必要があります。

専門家への相談：株式借用書担保は複雑な取引であるため、弁護士や税理士などの専門家に相談することが重要です。

株式借用書担保の注意点

株式借用書担保を利用する際には、以下の点に注意する必要があります。

株価変動リスク：株式の価格は常に変動するため、担保価値が下落するリスクがあります。そのため、株価の推移をよく観察し、必要に応じて追加の担保を提供するなどの対応が必要です。

経営権の喪失リスク：債務者が返済を怠った場合、債権者は担保として提供された株式を取得し、経営権を掌握する可能性があります。そのため、返済計画をしっかりと立て、返済を滞りなく行うことが重要です。

専門家への相談：株式借用書担保は複雑な取引であるため、弁護士や税理士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。

株式借用書担保は、企業にとって資金調達の選択肢の一つとなります。しかし、メリットだけでなくデメリットやリスクも存在するため、利用する際には、事前に十分な検討を行い、専門家にも相談しながら慎重に進めることが重要です。