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株式売り渡し追加請求権行使による少数株主との関係

更新:2024-06-08 03:12:42読む:105

株式売渡請求権と株式買取請求権の対比における株式売り渡し追加請求権

会社法において、少数株主の保護は重要なテーマの一つであり、そのために様々な制度が設けられています。その中でも、少数株主が自らの意思で株式を会社に買い取らせたり、逆に会社に対して株式の買い取りを請求したりできる権利は、少数株主にとって重要な権利です。本稿では、これらの権利の中でも、特に株式売り渡し追加請求権に焦点を当て、その内容や効果について解説していきます。

1. 株式売渡請求権と株式買取請求権の概要

株式売渡請求権と株式買取請求権は、いずれも少数株主が自らの意思で株式を処分できる権利という点で共通しています。しかし、その請求権者が異なる点、請求できる場面が異なる点など、両者には明確な違いが存在します。

(1) 株式売渡請求権

株式売渡請求権とは、株主総会で特定の決議がされた場合に、当該決議に反対した株主が、会社に対してその保有株式を買い取るように請求できる権利です(会社法166条1項)。この権利は、主に、会社が合併、会社分割、株式交換などの組織再編を行う際に、少数株主が不利益を被ることを防ぐために認められています。少数株主は、これらの組織再編に反対する場合、会社に対して株式を買い取るように請求することで、会社から離脱し、投資資金を回収することができます。

(2) 株式買取請求権

一方、株式買取請求権とは、会社が株主総会の決議により、ある特定の行為(例えば、株式の無償交付、剰余金の配当など)を行う場合に、当該決議に反対した株主が、会社に対してその保有株式を買い取るように請求できる権利です(会社法179条1項)。この権利は、主に、会社の行為が一部の株主だけに有利になる場合に、他の株主が不利益を被ることを防ぐために認められています。少数株主は、会社の行為に反対する場合、会社に対して株式を買い取るように請求することで、会社から離脱し、投資資金を回収することができます。

2. 株式売り渡し追加請求権とは

株式売り渡し追加請求権

株式売り渡し追加請求権とは、株式売渡請求権を exercised した株主が、会社が提示した買取価格が自己の保有株式の「公正な価格」を下回ると主張する場合に、裁判所に対して、会社が提示した買取価格を上回る価格での買取を請求できる権利です(会社法172条1項)。この権利は、会社が提示した買取価格が不当に低い場合に、少数株主が適正な価格で株式を処分できるようにするために認められています。

株式売り渡し追加請求権を行使するためには、株主は、会社が提示した買取価格が「公正な価格」を下回ると主張する根拠を示す必要があります。具体的には、株主は、自己の保有株式の価値を裏付ける資料(例えば、財務諸表、事業計画書、類似会社の株価など)を裁判所に提出する必要があります。裁判所は、これらの資料に基づいて、会社が提示した買取価格が「公正な価格」であるかどうかを判断します。

3. 株式売り渡し追加請求権の意義

株式売り渡し追加請求権は、少数株主の保護という観点から、非常に重要な意義を持っています。会社が提示した買取価格が不当に低い場合、少数株主は、株式売り渡し追加請求権を行使することで、適正な価格で株式を処分することができます。これにより、少数株主は、会社による不当な扱いを防ぎ、自己の投資を保護することができます。

また、株式売り渡し追加請求権の存在は、会社側に対して、少数株主の権利を尊重し、適正な価格で株式を買い取るように促す効果も期待できます。会社は、株式売り渡し追加請求権の行使を避けるために、少数株主との交渉を積極的に行い、双方にとって納得のいく価格で株式を買い取る努力をすることが求められます。

4. 株式売り渡し追加請求権の行使事例

近年、M&Aの増加に伴い、少数株主が株式売渡請求権や株式売り渡し追加請求権を行使する事例が増加傾向にあります。特に、親会社による子会社の上場廃止を目的としたM&Aにおいては、少数株主が買取価格に不満を持ち、株式売り渡し追加請求権を行使するケースが多く見られます。

例えば、ある上場子会社が親会社による株式公開買付け(TOB)の対象となり、TOB価格が少数株主にとって不当に低いとして、株式売り渡し追加請求権が争われた事例があります。この事例では、裁判所は、TOB価格が少数株主にとって不利益であると判断し、TOB価格を上回る価格での買取を命じました。この事例は、株式売り渡し追加請求権が少数株主の権利保護に有効な手段となり得ることを示すものとして注目されています。

5. まとめ

株式売り渡し追加請求権は、少数株主が適正な価格で株式を処分できるようにするために重要な権利です。会社は、少数株主の権利を尊重し、株式売り渡し追加請求権の行使を避けるために、少数株主との交渉を積極的に行い、双方にとって納得のいく価格で株式を買い取る努力をすることが求められます。

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