非上場株式贈与における税務上の留意点

株式贈与税非上場の基礎知識

近年、事業承継対策の一環として、あるいは資産の有効活用として、非上場株式の贈与が注目されています。しかし、株式贈与税非上場には独特のルールや計算方法が存在するため、事前にしっかりと理解しておくことが重要です。本稿では、株式贈与税非上場の基本から応用、そして注意すべきポイントまでを網羅的に解説いたします。

１．株式贈与税非上場とは何か？

株式贈与税非上場とは、その名の通り、上場していない会社の株式を贈与した場合に課される税金です。上場株式と異なり、非上場株式は市場で自由に売買することができないため、その価値を客観的に評価することが難しいという特徴があります。そのため、株式贈与税非上場においては、独自の評価方法が定められており、その計算は複雑になりがちです。

２．株式評価の難しさ

株式贈与税非上場の計算において最も重要なのが、贈与する株式の評価です。なぜなら、贈与税は贈与された財産の価値を基準に算出されるからです。非上場株式の場合、市場価格が存在しないため、税法で定められた方法に従って評価額を算定する必要があります。主な評価方法には、「類似業種比準価額方式」「純資産価額方式」「配当還元価額方式」の３つがありますが、それぞれにメリット・デメリットがあり、ケースバイケースで使い分けることが求められます。

３．評価方法の詳細

（１）類似業種比準価額方式

類似業種比準価額方式とは、贈与する非上場株式と同じ業種の上場企業の株価を参考に、評価額を算定する方法です。具体的には、類似上場会社の株価や指標を用いて、贈与する非上場株式の価値を推定します。この方法は、比較的簡便で客観性が高いとされていますが、類似する上場会社が存在しない場合や、事業内容が大きく異なる場合には適用が難しいという側面もあります。

（２）純資産価額方式

純資産価額方式とは、贈与する非上場株式を発行している会社の純資産価額を基に、評価額を算定する方法です。具体的には、会社の貸借対照表上の資産から負債を差し引いた金額を、発行済株式数で割ることで、１株当たりの価値を算出します。この方法は、会社の財務状況を直接的に反映した評価が可能ですが、将来の収益力や成長性などは考慮されないため、必ずしも適正な評価とは言えないケースもあります。

（３）配当還元価額方式

配当還元価額方式とは、贈与する非上場株式から将来得られるであろう配当金額を基に、評価額を算定する方法です。具体的には、将来予想される配当金額を、適切な割引率を用いて現在価値に割り引くことで、評価額を算出します。この方法は、将来の収益力を加味した評価が可能ですが、配当金の支払い状況や将来の業績予想など、不確定要素が多いという点が挙げられます。

４．納税猶予制度の活用

株式贈与税非上場は、多額の納税資金が必要になるケースも少なくありません。そこで活用を検討したいのが、納税猶予制度です。納税猶予制度とは、一定の要件を満たす場合に、贈与税の納税を一定期間猶予してもらえる制度です。代表的な納税猶予制度としては、「事業承継税制」が挙げられます。事業承継税制を利用することで、事業承継に伴う贈与税の納税を、原則として猶予または免除を受けることができます。

５. 専門家への相談の重要性

株式贈与税非上場は、複雑な計算や専門的な知識が求められるため、税理士などの専門家に相談することが重要です。専門家は、贈与者の状況や会社の財務状況などを踏まえ、最適な評価方法や納税対策をアドバイスしてくれます。また、税務調査の対応なども行ってくれるため、安心して手続きを進めることができます。

6. まとめ

株式贈与税非上場は、複雑な制度であり、事前に十分な準備と対策が必要となります。本稿で解説した内容を踏まえ、専門家の意見も聞きながら、最適な贈与計画を立てていきましょう。