基準価額株式投資における分散投資戦略
基準価額株式の概要
基準価額株式とは、株式会社が発行する株式のうち、株主が会社に対して請求することで、当該株式の内容である権利(会社法上の各種株主権)を放棄するのと引き換えに、あらかじめ定められた算式に基づいて算定される金額の金銭の交付を受けることができる旨の定款の定めがされている株式をいいます(会社法2条10号)。
従来の日本の会社法制においては、株主がその保有する株式を処分して投資資金を回収するためには、原則として、株式市場において他の投資家に対して当該株式を売却する必要がありました。しかしながら、株式市場の流動性が低い場合や、株主が少数株主である場合には、株式の売却が困難となる場合があり、このような場合には、株主は保有する株式を処分して投資資金を回収することが困難となるという問題がありました。
そこで、会社法の改正により、新たに基準価額株式制度が導入されることとなりました。基準価額株式制度は、株主が会社に対して株式の買取を請求する権利を会社法上の権利として認めるものであり、これにより、株主は、株式市場における売却とは別の方法で、保有する株式を処分して投資資金を回収することができるようになりました。
基準価額株式の特徴
基準価額株式には、以下のような特徴があります。
1. 買取請求権
基準価額株式の株主は、会社に対して、当該株式の買取を請求することができます。買取請求権は、株主が会社に対して一方的に行使することができる権利であり、会社の同意は必要ありません。
2. 基準価額
基準価額株式の買取価格は、あらかじめ定められた算式に基づいて算定されます。この算式は、定款で定める必要があります。基準価額の算定方法としては、例えば、直近の決算期における1株当たりの純資産額や、過去一定期間における株価の平均値などが考えられます。
3. 譲渡制限
基準価額株式は、原則として、譲渡が制限されます。これは、基準価額株式が、株式市場における売買の対象となることを想定していないためです。ただし、定款で定めることにより、一定の範囲内での譲渡を認めることもできます。
基準価額株式のメリット・デメリット
メリット
株主は、株式市場における売却とは別の方法で、保有する株式を処分して投資資金を回収することができます。
会社は、株主構成を安定化させることができます。
デメリット
基準価額の算定方法によっては、株主が不利益を被る可能性があります。
譲渡制限があるため、株式の流動性が低くなります。
基準価額株式の活用事例
基準価額株式は、以下のような場合に活用が考えられます。
非上場会社における株式の買取請求権の付与
従業員持株会における株式の買取請求権の付与
M&Aにおける少数株主の買取請求権の付与
まとめ
基準価額株式は、株主が会社に対して株式の買取を請求する権利を会社法上の権利として認めるものであり、これにより、株主は、株式市場における売却とは別の方法で、保有する株式を処分して投資資金を回収することができるようになりました。基準価額株式の導入を検討する際には、メリット・デメリットを踏まえ、自社の状況に合わせて慎重に判断する必要があります。
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