株式供託に関する法理論

株式供託とは

株式供託とは、会社法やその他の法令に基づき、株式を法務局に預託することを指します。これにより、株式の発行会社や株主は、様々な法的効果を得ることができます。

株式供託の目的

株式供託の目的は、大きく分けて以下の3つに分類できます。

1. 債権者の保護

会社が新株発行を行う場合、既存の債権者の利益を害する可能性があります。そこで、会社法では、一定の場合に会社に対して株式供託を義務付けています。これにより、債権者は、供託された株式を担保として、自己の債権を保全することができます。

2. 株主間の紛争の防止

株主総会決議の取消し訴訟や株式買取請求訴訟など、株主間で紛争が生じた場合、裁判所は、当事者に対して株式供託を命じることがあります。これは、訴訟の結果、株式の帰属が変わる可能性があるため、その間の紛争の激化や株式の散逸を防ぐことを目的としています。

3. その他の法的効果の発揮

会社法以外にも、金融商品取引法や独占禁止法など、様々な法律において株式供託が規定されています。これらの法律では、それぞれの目的を達成するために、株式供託制度が活用されています。例えば、金融商品取引法では、公開買付けを行う者が、公開買付けに応募する株主に対して、対価を支払う義務を担保するために、株式供託が義務付けられています。

株式供託の手続き

株式供託の手続きは、以下のようになります。

供託書の提出：供託者は、法務局に対して、供託書を提出します。供託書には、供託の目的、供託する株式の数、種類、株主名簿上の記載事項などを記載する必要があります。

株式の提出：供託者は、供託書とともに、供託する株式を法務局に提出します。株式は、株券発行会社が発行したものでなければなりません。

供託の受領：法務局は、供託書と株式の内容を審査し、問題がなければ、供託を受領します。供託が受領されると、供託者に対して、供託証書が交付されます。

株式供託の解除

株式供託は、一定の要件を満たすことで解除することができます。解除の方法は、供託の目的や根拠法令によって異なりますが、主なものとして、以下のものがあります。

供託の目的の達成：供託の目的が達成された場合、例えば、債務が弁済された場合や、訴訟が終結した場合などには、供託は解除されます。

供託者の請求：供託者は、一定の要件の下で、供託の解除を請求することができます。例えば、供託の必要性がなくなった場合や、供託の継続が著しく困難になった場合などです。

裁判所の決定：裁判所は、訴訟の状況に応じて、株式供託の解除を命じることができます。

株式供託の注意点

株式供託を行う際には、以下の点に注意する必要があります。

供託する株式の要件：供託できる株式は、株券発行会社が発行したものでなければなりません。また、質権や譲渡担保などの担保権が付着していない株式でなければなりません。

供託期間：供託期間は、供託の目的や根拠法令によって異なります。供託期間が満了した場合、供託は効力を失うため、注意が必要です。

供託費用：株式供託を行う際には、法務局に対して、供託費用を支払う必要があります。供託費用の額は、供託する株式の価額によって異なります。

株式供託は、企業活動や株主間の紛争において、重要な役割を果たす制度です。株式供託に関する法令や判例は、複雑かつ多岐にわたるため、専門家の助言を得ながら、適切に対応することが重要です。