社員株式売買決算報告書作成の手引き

社員株式売買決算とは

社員株式売買決算とは、非公開会社において、株主が所有する株式を会社または他の株主が買い取る取引における、価格決定と決済手続きに関する決算方法の一つです。この方法は、特に会社の設立時や、後継者問題解決のための株式移動などに利用されます。

社員株式売買決算の目的

非公開会社の株式は、株式市場で自由に売買することができません。そのため、株主が株式を売却したい場合、会社または他の株主との間で売買交渉を行う必要があります。しかし、株式の適正価格を決定することは容易ではなく、交渉がまとまらないケースも少なくありません。

社員株式売買決算は、このような問題を解決するために、あらかじめ定められた方法に基づいて株式価格を決定し、円滑な株式移動を実現することを目的としています。

社員株式売買決算のメリットとデメリット

メリット

社員株式売買決算のメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

株式価格の決定方法があらかじめ決まっているため、売買交渉がスムーズに進む。

第三者機関による評価などを必要としないため、コストを抑えることができる。

会社の業績や財務状況などを反映した、合理的な価格で株式を売買することができる。

デメリット

一方、デメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

将来の業績向上などが反映されにくく、売主にとって不利な価格となる可能性がある。

買主にとっては、将来の業績悪化などにより、割高な価格で購入してしまう可能性がある。

あらかじめ定められた算定方法が、会社の状況や当事者のニーズに合致しない場合がある。

社員株式売買決算の算定方法

社員株式売買決算における株式価格は、会社の業績や財務状況などを考慮して、以下のいずれかの方法で算定されるのが一般的です。

純資産価額方式：会社の純資産（資産から負債を差し引いた金額）を基に、株式価格を算定する方法。

配当還元方式：将来予想される配当金額を、一定の割引率で現在価値に割り引いて株式価格を算定する方法。

類似会社比較方式：上場している類似会社の株価などを参考に、株式価格を算定する方法。

どの算定方法を採用するかは、会社の規模や業種、株主間の合意などによって決定されます。

社員株式売買決算の注意点

社員株式売買決算を行う際には、以下の点に注意する必要があります。

算定方法の妥当性：採用する算定方法が、会社の状況や当事者のニーズに合致しているかを慎重に検討する必要がある。

専門家への相談：弁護士や税理士などの専門家に相談し、アドバイスを受けることが重要。

株主間契約の締結：株式の売買条件などを明確にするために、株主間契約を締結しておくことが望ましい。

社員株式売買決算は、円滑な株式移動を実現するための有効な手段となりますが、その一方で、注意すべき点も少なくありません。そのため、事前に十分な準備と検討を行うことが重要です。