相続税納付による債務超過回避策と株式対策

相続税債務超過株式とは

相続税債務超過株式とは、相続発生時に被相続人が保有していた株式のうち、その評価額が相続税の納税額を上回る場合に生じる株式のことです。具体的には、相続財産に含まれる株式の評価額から、相続税の基礎控除額などを差し引いた相続税の課税価格を算出し、その課税価格が相続財産全体から差し引かれるべき債務や葬儀費用などを上回る場合に、当該株式は相続税債務超過株式とみなされます。

相続税債務超過株式の発生原因

相続税債務超過株式が発生する主な原因としては、以下の点が挙げられます。

1. 株式評価額の高騰

被相続人が保有していた株式が、相続発生時に著しく値上がりしている場合、相続税債務超過株式が発生しやすくなります。特に、未上場株式やベンチャー企業の株式などは、時価評価が難しく、相続発生時の評価額が高額になる傾向があります。

2. 相続財産の偏り

相続財産の大部分が株式などの流動性の低い資産で占められている場合、相続税の納税資金を確保することが困難となり、相続税債務超過株式が発生しやすくなります。

3. 多額の借入金

被相続人が多額の借入金をしていた場合、相続財産から借入金の返済を優先する必要があり、その結果、相続税の納税資金が不足し、相続税債務超過株式が発生しやすくなります。

相続税債務超過株式の問題点

相続税債務超過株式は、相続人にとって以下のような問題点を抱えています。

1. 納税資金の調達

相続税債務超過株式が発生した場合、相続人は多額の相続税を納付する必要がありますが、株式を売却しなければ納税資金を調達することができません。しかし、株式を売却してしまうと、被相続人が築き上げてきた事業の承継が困難になる可能性があります。

2. 株式の流動性の低さ

未上場株式やベンチャー企業の株式などは、流動性が低く、売却しようとしても買い手が見つからない場合があります。そのため、相続人は、納税資金を調達するために、やむを得ず株式を安値で売却せざるを得ない可能性もあります。

3. 親族間トラブルのリスク

相続税債務超過株式を巡っては、相続人間の意見が対立し、親族間トラブルに発展するリスクがあります。特に、株式を保有することによる経営権の継承問題などが絡むと、感情的な対立が深刻化する可能性があります。

相続税債務超過株式への対策

相続税債務超過株式への対策としては、以下のような方法が考えられます。

1. 生前贈与の活用

被相続人が存命中に、相続人に対して株式を贈与しておくことで、相続発生時の相続税を軽減することができます。ただし、贈与税の課税対象となるため、注意が必要です。

2. 生命保険の活用

被相続人が生命保険に加入し、死亡保険金を相続税の納税資金に充当できるようにしておく方法があります。

3. 事業承継税制の活用

一定の要件を満たす場合には、事業承継税制の適用を受けることで、相続税の納付を猶予したり、軽減したりすることができます。

まとめ

相続税債務超過株式は、相続人にとって大きな負担となる可能性があります。そのため、相続が発生する前に、専門家などに相談し、適切な対策を講じておくことが重要です。