株式売渡請求権行使

株式売渡請求権とは

株式売渡請求権とは、株式を保有する株主が、一定の要件を満たした場合に、会社に対して株式の買い取りを請求できる権利のことです。会社法第244条に規定されています。

株式売渡請求権の要件

株式売渡請求権を行使するには、以下の要件を満たす必要があります。

株主が、議決権のある株式を1年以上保有していること

会社が、株主総会において、合併、株式交換、会社分割などの重要な事項を決議したこと

株主が、その決議に反対したこと

株主が、決議の日から1か月以内に、会社に対して株式売渡請求権を行使したこと

株式売渡請求権の行使方法

株式売渡請求権を行使するには、会社に対して書面で請求書を提出する必要があります。請求書には、以下の事項を記載する必要があります。

株主の氏名または名称

保有する株式の数

株式売渡請求権を行使する理由

株式売渡請求権の効力

会社は、株式売渡請求権が有効に行使された場合、株主に対して、株式の買い取り価格を支払う必要があります。買い取り価格は、決議の日における株式の市場価格を基準として算定されます。

株式売渡請求権の意義

株式売渡請求権は、株主の権利を保護するための重要な制度です。株主は、会社の重要な事項の決議に反対した場合、株式を売却して会社から離脱することができます。これにより、株主は、会社の経営方針に同意できない場合でも、投資した資金を回収することができます。

株式売渡請求権の注意点

株式売渡請求権を行使する際には、以下の点に注意する必要があります。

株式売渡請求権は、決議の日から1か月以内にしか行使できません。

株式売渡請求権を行使すると、株主は、その株式に対する議決権を失います。

会社は、株式売渡請求権が有効に行使された場合、株式の買い取りを拒否することはできません。

株式売渡請求権の事例

株式売渡請求権が実際に使われた事例として、以下のようなものがあります。

2015年、ソフトバンクがスプリントを買収した際に、スプリントの株主の一部が、買収に反対して株式売渡請求権を行使しました。

2017年、日産自動車が三菱自動車を買収した際に、三菱自動車の株主の一部が、買収に反対して株式売渡請求権を行使しました。

株式売渡請求権の今後

株式売渡請求権は、株主の権利保護に重要な制度ですが、今後、以下のような議論がされる可能性があります。

株式売渡請求権の要件を緩和すること

株式売渡請求権の行使期間を延長すること

株式売渡請求権の買い取り価格の算定方法を見直すこと