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譲渡承認株式取得と特別利害関係人における法的考察

更新:2024-06-15 03:34:42読む:119

譲渡承認株式と特別利害関係人

株式会社において、株主総会は会社の重要な意思決定機関として位置づけられています。株主総会の決議は、原則として出席株主の議決権の過半数で成立しますが、定款で定められた特別決議事項については、より厳格な決議要件が求められます。例えば、合併、会社分割、定款変更など、会社の根幹を揺るがすような重要事項については、出席株主の議決権の3分の2以上の多数による決議が必要となります。

このような重要事項に関する決議において、特定の株主が議決権を過半数または3分の2以上保有している場合、その株主の意向が会社の意思決定に大きく影響を及ぼすことになります。このような株主は、会社に対して強い影響力を持つことから、「支配株主」と呼ばれることがあります。支配株主の存在は、会社の経営の安定化や迅速な意思決定を可能とする一方、少数株主の利益が軽視されたり、支配株主による利益相反行為が生じたりする可能性も孕んでいます。

そこで、会社法は、支配株主による少数株主の利益を害する行為を規制するため、様々な制度を設けています。その一つが、「譲渡承認株式特別利害関係人」に関する規定です。

譲渡承認株式と少数株主保護

譲渡承認株式

譲渡承認株式とは、その株式を譲渡する場合に、会社または取締役会の承認を必要とする旨が定款に定められた株式をいいます。譲渡承認株式は、会社の経営への影響力を持つ株主の異動を制限することで、会社の経営の安定化を図ることを目的としています。例えば、会社の技術やノウハウが競合他社に流出することを防ぐために、特定の株主に対してのみ譲渡承認株式を発行することが考えられます。

しかしながら、譲渡承認株式は、その性質上、株主の株式を自由に譲渡する権利を制限することになります。そのため、譲渡承認株式に関する規定は、少数株主の利益を不当に害する可能性も孕んでいます。例えば、会社の経営陣が、自らの保身を目的として、特定の株主からの株式の買い取りを不当に拒絶するといったケースが考えられます。

そこで、会社法は、譲渡承認株式に関する規定を設けるにあたり、譲渡承認株式特別利害関係人による承認を必要とする場合があると定めています。ここでいう「特別利害関係人」とは、当該会社またはその子会社の取締役、監査役、執行役、会計参与、会計監査人およびこれらの者であった者などを指します。

譲渡承認株式特別利害関係人による承認を必要とするケースとしては、以下のようなものがあります。

譲渡承認株式の譲渡について、会社または取締役会が承認を拒絶する場合

譲渡承認株式の譲渡について、会社が株主に対して、自己株式取得または第三者割当増資による買取請求を行う場合

つまり、会社が譲渡承認株式の譲渡を承認しない場合や、会社が株主に対して買取請求を行う場合には、譲渡承認株式特別利害関係人の承認を得る必要があるということです。これは、譲渡承認株式に関する会社の判断が、会社の経営陣の利益に反するものではなく、公正なものであることを担保するためです。

まとめ

譲渡承認株式

譲渡承認株式は、会社の経営の安定化を図る上で有効な手段となりえますが、その一方で、少数株主の利益を害する可能性も孕んでいます。そのため、会社法は、譲渡承認株式に関する規定を設けるにあたり、譲渡承認株式特別利害関係人による承認を必要とするケースを定めるなど、少数株主の保護のための措置を講じています。

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