株式譲渡損失繰越控除相続における注意点

株式譲渡損失繰越控除と相続：基礎知識と注意点

株式投資は、現代社会において資産運用の一つの手段として広く認知されています。しかし、株式投資には常に利益が出るわけではなく、時には損失が発生することもあります。特に、株式の譲渡によって損失が発生した場合、その損失は確定申告を行うことで、将来の利益と相殺できる場合があります。これを「株式譲渡損失の繰越控除」と言います。

株式譲渡損失の繰越控除とは

株式譲渡損失繰越控除とは、株式の譲渡によって生じた損失を、確定申告を行うことによって、将来の株式譲渡益や配当所得などと相殺し、税負担を軽減できる制度です。この制度は、投資家が損失を抱えたまま投資意欲を失ってしまうことを防ぎ、証券市場の活性化を図ることを目的としています。

繰越控除の対象となる損失

株式譲渡損失繰越控除の対象となる損失は、以下の通りです。

上場株式等の譲渡による損失

非上場株式等の譲渡による損失

信用取引における差金決済による損失

先物取引やオプション取引における損失

繰越控除の期間

株式譲渡損失繰越控除は、損失が発生した年から3年間、繰越控除を行うことができます。例えば、2023年に株式譲渡損失が発生した場合、2023年から2025年までの3年間、その損失を繰越控除することができます。

相続と株式譲渡損失繰越控除

相続が発生した場合、被相続人が保有していた株式は、相続人へと承継されます。この際、被相続人が株式譲渡損失繰越控除の権利を保有していた場合、その権利は相続人に引き継がれるのでしょうか？

原則として相続は認められない

結論から言うと、株式譲渡損失繰越控除の権利は、原則として相続人に引き継がれません。これは、所得税法において、株式譲渡損失繰越控除はあくまで「個人の権利」とされているためです。

例外：相続税の取得費加算

ただし、相続税の計算上、一定の要件を満たす場合には、被相続人の株式譲渡損失繰越控除の権利を考慮することができます。具体的には、相続税の申告において、相続財産である株式の取得費に、被相続人が保有していた株式譲渡損失繰越控除の金額を加算することができます。

まとめ

株式譲渡損失繰越控除は、投資家にとって重要な税制上の優遇措置です。しかし、相続が発生した場合、その権利は原則として相続人に引き継がれません。相続税の計算上、一定の要件を満たす場合には、被相続人の株式譲渡損失繰越控除の権利を考慮することができますが、詳細については税理士などの専門家にご相談することをお勧めします。