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劣後株式投資におけるリスクとリターン分析手法

更新:2024-06-15 08:55:39読む:88

劣後株式とは

劣後株式

劣後株式とは、通常の株式(普通株式)に比べて、利益分配や残余財産の分配などにおいて劣後的な扱いを受ける株式のことです。具体的には、企業が倒産した場合、債権者や優先株主への弁済が優先され、劣後株式の所有者への分配は最後になります。

メリットとデメリット

発行企業側のメリット

発行企業側にとって、劣後株式を発行するメリットは、主に以下の点が挙げられます。

財務体質の改善:劣後株式は、会計上は自己資本として扱われるため、発行することで自己資本比率を高め、財務体質を強化することができます。これは、銀行からの融資を受けやすくなるなど、資金調達面でのメリットにもつながります。

経営支配権の維持:劣後株式は、一般的に議決権が制限されているか、全く付与されていないケースが多いです。そのため、経営支配権を維持したまま資金調達を行うことができます。

投資家側のメリット

投資家側にとってのメリットは、主に以下の点が挙げられます。

高い配当利回り:劣後株式は、普通株式よりも高い配当利回りが期待できます。これは、投資家にとってのリスクが高いことを反映したものです。

資本参加:議決権は制限されることが多いですが、劣後株式は株式の一種であるため、企業の成長による株価上昇の恩恵を受けることができます。また、企業によっては一定の条件を満たすと普通株式に転換できる権利が付与されている場合もあります。

発行企業側のデメリット

発行企業側にとってのデメリットは、主に以下の点が挙げられます。

資金調達コスト:劣後株式は、普通株式よりも高い配当を支払う必要があるため、資金調達コストが高くなる可能性があります。

財務上の制約:劣後株式には、財務制限条項が付されている場合があり、企業の財務戦略に制約が生じる可能性があります。

投資家側のデメリット

劣後株式

投資家側にとってのデメリットは、主に以下の点が挙げられます。

高いリスク:劣後株式は、企業が倒産した場合、債権者や優先株主よりも後に弁済を受けるため、投資元本を失うリスクが高いです。

流動性リスク:劣後株式は、普通株式と比較して市場での取引量が少なく、流動性が低い傾向があります。そのため、売却したいタイミングで売却できない可能性があります。

劣後株式の種類

劣後株式には、様々な種類があります。主な種類として、以下のようなものがあります。

누적型と非累積型:配当が支払われなかった場合、その権利が翌期以降に繰り越されるのが「 누적型」、繰り越されないのが「非累積型」です。

償還型と非償還型:発行時にあらかじめ償還日が設定されているのが「償還型」、設定されていないのが「非償還型」です。

転換型と非転換型:一定の条件を満たすと普通株式に転換できる権利が付与されているのが「転換型」、付与されていないのが「非転換型」です。

劣後株式の活用事例

劣後株式は、銀行や保険会社などの金融機関で多く発行されています。これは、金融機関が自己資本比率規制を遵守するために、劣後株式を発行することで自己資本を増強する必要があるためです。また、近年では、スタートアップ企業が資金調達手段として劣後株式を活用するケースも増えています。これは、スタートアップ企業は、一般的に財務基盤が弱く、銀行からの融資を受けにくいという事情があるためです。

まとめ

劣後株式

劣後株式は、発行企業と投資家の双方にとってメリットとデメリットがある複雑な金融商品です。投資する際には、リスクやリターン、発行企業の経営状況などを十分に理解した上で、慎重に判断する必要があります。

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