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特定同族株式相続

更新:2024-06-15 04:09:00読む:73

特定同族株式相続における納税猶予と事業承継税制の活用

中小企業の経営承継において、後継者が親族となるケースは少なくありません。特に、長年培ってきた技術やノウハウ、顧客との信頼関係などを継承していくためには、親族内での事業承継が有効な手段となり得ます。しかし、親族内承継、特に株式を相続する特定同族株式相続には、多額の相続税が発生する可能性があり、これが事業承継の大きな障壁となるケースも少なくありません。そこで、今回は特定同族株式相続における納税猶予制度と事業承継税制について解説し、円滑な事業承継を実現するための方法について考察していきます。

1. 特定同族株式相続における納税猶予制度の概要

特定同族株式相続の場合、相続税の納税によって、後継者が事業継続のための資金繰りに苦しむ事態も想定されます。このような事態を避けるため、一定の要件を満たせば、相続税の納税を猶予または免除する制度が設けられています。

1.1 猶予対象となる株式

納税猶予の対象となる株式は、被相続人が死亡した時の会社の発行済株式の総数または議決権の総数のうち、相続人が相続や遺贈によって取得したものの合計が50%以上であること、かつ、相続開始前3年以内のいずれかの時点で、被相続人と相続人が合わせて50%以上を保有している株式であることなどが条件となります。

1.2 猶予の要件

納税猶予を受けるためには、原則として以下の要件をすべて満たす必要があります。

相続開始の日から2年以内に被相続人の事業を継承し、かつ、相続税の申告期限までに一定規模以上の事業を営んでいること

相続開始の日から5年が経過するまでの間、原則としてその事業を継続すること

特定同族株式相続

相続開始の日から5年が経過するまでの間、株式を贈与や売却などによって処分しないこと

2. 事業承継税制の活用

事業承継税制は、事業承継時に発生する贈与税や相続税の納税を猶予または免除する制度です。特定同族株式相続においても、この事業承継税制を活用することで、より有利に事業承継を進めることが可能となります。

2.1 贈与税・相続税の納税猶予制度

後継者が経営者となる中小企業の経営者が、後継者である親族に対して、その会社の株式を贈与する場合、贈与税の納税猶予を受けることができます。また、後継者が相続により取得した株式について、相続税の納税猶予を受けることができます。いずれの場合も、一定の要件を満たしている中小企業であること、後継者が一定期間事業を継続することなどが求められます。

2.2 贈与税の軽減税制

一定の要件を満たす中小企業の経営者が、後継者となる親族に対して、その会社の株式を贈与する場合に、贈与税を軽減する制度です。この制度を利用するためには、贈与された株式を一定期間保有し続けることなどが求められます。

3. 円滑な事業承継を実現するために

特定同族株式相続における納税猶予制度や事業承継税制は、円滑な事業承継を促進するための有効な手段です。しかし、これらの制度は要件が複雑であり、適用を受けるためには事前の準備が不可欠です。具体的には、以下の点が挙げられます。

自社の状況を把握し、適用可能な制度を検討する

事業承継計画を策定し、後継者育成や株式の移動などを計画的に進める

税理士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受ける

円滑な事業承継を実現するためには、早めの準備と専門家との連携が重要です。特定同族株式相続には、相続税や贈与税の負担が大きくなる可能性がある一方で、納税猶予制度や事業承継税制を活用することで、その負担を軽減し、円滑な事業承継を実現できる可能性があります。後継者とともに、これらの制度を理解し、適切な対策を講じていくことが重要です。

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