株式支配率変動と企業価値評価分析手法

株式支配率とは

株式支配率とは、ある企業が他の企業の発行済み株式のうち、どれだけの割合を保有しているかを示す指標です。企業買収や経営統合、資本提携などにおいて、重要な要素となる概念です。

株式支配率の種類

株式支配率は、その保有割合によって、いくつかの種類に分けられます。主なものとしては、以下の3つが挙げられます。

1. 議決権の過半数保有（50%超）

発行済み株式の過半数を保有する場合、株主総会において、重要な議案に対する拒否権を事実上、単独で行使することができます。つまり、会社の経営方針を左右するほどの強い影響力を持つことになります。

2. 議決権の3分の2以上保有

発行済み株式の3分の2以上を保有する場合、株主総会において、定款変更や合併、会社分割などの特別決議を単独で可決することができます。これは、会社の重要な経営判断を単独で行えることを意味します。

3. 議決権の3分の1超保有

発行済み株式の3分の1を超えて保有する場合、株主総会において、特別決議に対して拒否権を持つことができます。つまり、他の株主の意向を無視して、会社の重要な経営判断を阻止することが可能となります。

株式支配率の意義

株式支配率は、企業買収や経営統合、資本提携などにおいて、重要な意味を持ちます。

1. 企業買収

企業買収においては、買収側企業は、対象企業の株式を一定割合以上取得することで、経営権を掌握することを目指します。そのため、株式支配率は、買収の成否を左右する重要な要素となります。

2. 経営統合

経営統合においては、統合後の新会社における株式支配率が、統合前の各社の経営権をどのように引き継ぐかを決定する重要な要素となります。

3. 資本提携

資本提携においては、提携企業同士が互いの株式を保有することで、相互の事業関係を強化することを目指します。この場合、株式支配率は、提携関係の強さを示す指標となります。

株式支配率に関する注意点

株式支配率は、企業間の関係性を示す重要な指標ですが、あくまでも形式的なものであり、実際の経営権や影響力は、株式保有比率以外の要素によっても左右される可能性があることに留意する必要があります。

1. 持ち合い株式

企業間で互いに株式を保有し合う「持ち合い株式」が存在する場合、実際の株式支配率は、表面上の数値とは異なる可能性があります。

2. 議決権比率の低い株式

議決権比率の低い株式や、議決権を持たない株式が存在する場合、株式保有比率が高くても、実際の議決権は限られることになります。

3. 潜在的な株主

将来的に株式を取得する可能性のある「潜在的な株主」が存在する場合、現在の株式支配率だけでは、将来の経営権の安定性を予測することができません。

このように、株式支配率は、企業間の関係性を理解する上で重要な指標ですが、あくまでも一つの要素に過ぎず、その他の要素も総合的に判断する必要があると言えるでしょう。