非上場会社株式同族譲渡所得税

非上場会社株式同族譲渡所得税とは

非上場会社株式同族譲渡所得税とは、非上場会社の株式を譲渡した場合に、その譲渡益に対して課税される税金です。特に、親族など特定の関係者に株式を譲渡した場合に課税されるという特徴があります。これは、株式の譲渡を通じて、本来支払われるべき贈与税や相続税を回避することを防ぐための制度です。

課税対象となる取引

非上場会社株式同族譲渡所得税の対象となる取引は以下の通りです。

非上場会社の株式の譲渡

特定の親族への譲渡

具体的には、配偶者、父母、子、兄弟姉妹など、民法上の親族や、内縁関係にある者、事実婚のパートナーなどが含まれます。また、これらの親族が支配する法人への譲渡も含まれます。

課税の仕組み

非上場会社株式同族譲渡所得税は、株式の譲渡益に対して課税されます。譲渡益は、以下の計算式で求められます。

譲渡益 ＝ 株式の譲渡価格 － 取得費 － 譲渡費用

取得費とは、株式を取得するために支払った金額のことで、譲渡費用とは、株式を譲渡するためにかかった費用です。譲渡益に対して課税される税率は、譲渡益の金額によって異なります。

納税義務者と申告

非上場会社株式同族譲渡所得税の納税義務者は、株式を譲渡した個人です。譲渡した株式が、同族会社の株式に該当し、かつ特定の親族への譲渡に該当する場合は、確定申告を行う際に、この税金を申告する必要があります。申告期限は、譲渡した年の翌年3月15日です。

非上場会社株式同族譲渡所得税の特例

非上場会社株式同族譲渡所得税には、いくつかの特例が設けられています。これらの特例を活用することで、納税負担を軽減できる場合があります。

事業承継税制

事業承継税制は、中小企業の円滑な事業承継を支援するために設けられた制度です。一定の要件を満たす場合には、非上場会社株式同族譲渡所得税の納税を猶予または免除することができます。この制度を活用するためには、事前に事業承継計画を策定し、税務署に提出する必要があります。

贈与税の配偶者控除

配偶者に株式を贈与する場合には、贈与税の配偶者控除を利用することで、贈与税の負担を軽減することができます。この控除は、最大で2,000万円まで適用することができます。贈与税の配偶者控除を利用するためには、一定の要件を満たしている必要があります。

納税猶予制度

一定の要件を満たす場合には、非上場会社株式同族譲渡所得税の納税を猶予することができます。たとえば、後継者が株式を取得するための資金調達が困難な場合などに、納税猶予制度を利用することができます。

非上場会社株式同族譲渡所得税の注意点

非上場会社株式同族譲渡所得税は、複雑な制度であるため、注意が必要です。特に、以下の点については注意が必要です。

適用範囲の判断

非上場会社株式同族譲渡所得税は、すべての非上場会社の株式譲渡に適用されるわけではありません。特定の親族への譲渡や、同族会社に該当するかどうかなど、適用範囲について注意深く判断する必要があります。適用範囲を誤ると、本来よりも多くの税金を納めることになる可能性があります。

特例の適用要件

非上場会社株式同族譲渡所得税には、いくつかの特例が設けられていますが、それぞれに適用要件があります。特例を活用するためには、適用要件を満たしていることを確認する必要があります。適用要件を満たしていないにもかかわらず特例を適用すると、追徴税等のペナルティが課せられる可能性があります。

専門家への相談

非上場会社株式同族譲渡所得税は、複雑な制度であるため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家に相談することで、適用範囲や特例について適切なアドバイスを受けることができます。また、申告手続きを代行してもらうこともできます。