株式評価益財産分与における税務上の留意点

株式評価益財産分与とは

結婚生活中に夫婦が協力して築き上げた財産は、離婚時に原則として2分の1ずつで分けることになります。これを「財産分与」と言いますが、財産の中には、預貯金や不動産だけでなく、株式も含まれます。特に、上場企業の株式や、未上場であっても将来性が期待される企業の株式は、その評価額が高額になることが多く、財産分与において重要な争点となることがあります。これを「株式評価益財産分与」と言います。

株式評価益財産分与の対象となる株式

株式評価益財産分与の対象となる株式は、原則として、婚姻期間中に夫婦の協力によって取得した株式、またはその価値が増加した株式です。具体的には、以下のような株式が挙げられます。

婚姻中に夫婦の共同財産で購入した株式

婚姻中に夫婦の一方が相続や贈与で取得した株式

婚姻前から夫婦の一方が保有していた株式で、婚姻中の夫婦の協力によって価値が増加した株式

株式評価益財産分与の評価方法

株式評価益財産分与では、対象となる株式の評価額を算定する必要があります。株式の評価方法は、上場株式と未上場株式で異なります。

上場株式の評価方法

上場株式は、原則として、離婚時の市場価格によって評価します。具体的には、以下のいずれかの方法で評価するのが一般的です。

離婚日における取引所終値

離婚日を挟む一定期間（例えば1か月間）の取引所終値の平均値

未上場株式の評価方法

未上場株式は、市場価格が存在しないため、客観的な評価が難しいという特徴があります。そのため、専門家である会計士や税理士などに評価を依頼することが一般的です。未上場株式の評価方法は、以下の要素を総合的に考慮して行われます。

会社の業績（売上高、利益、資産規模など）

会社の将来性

類似の上場企業の株価

株主構成

株式評価益財産分与における注意点

株式評価益財産分与を行う際には、以下の点に注意する必要があります。

株式の評価額は、評価時点の市場環境や会社の業績によって大きく変動する可能性があるため、離婚時期によって有利不利が生じることがあります。

未上場株式の評価は、専門家の判断に委ねられる部分が大きく、評価額が当事者間で大きく異なる可能性があります。

株式を財産分与によって分割する場合、議決権の行使方法や株主としての責任など、会社法上の問題が生じる可能性があります。

これらの問題を避けるためには、弁護士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。特に、未上場株式の評価や会社法上の問題については、専門的な知識が必要となるため、早期に専門家に相談することをお勧めします。