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逆執行無効株式購入請求権発生要件

更新:2024-06-15 03:29:12読む:105

逆執行無効株式購入とは

逆執行無効株式購入とは、会社法上の概念であり、具体的には、株式会社が自己の株式を取得することを禁じている会社法135条1項の規定に違反して行われた株式の取得について、その取得が「執行を停止すべき正当な理由」があると認められる場合に、当該株式の取得の効力を遡及的に消滅させる制度を指します。

この制度の目的は、会社法135条1項の規定の趣旨を貫徹し、株主や債権者などのステークホルダーを保護することにあります。具体的には、以下の2つの点を目的としています。

1. 資本充実の原則の維持

逆執行無効株式購入

会社法135条1項は、株式会社の資本充実の原則を維持するために設けられています。資本充実の原則とは、株式会社がその事業活動に必要な資金を、株主からの出資によって賄わなければならないという原則です。株式会社が自己の株式を取得すると、会社財産が減少するため、資本充実の原則に反することになります。

逆執行無効株式購入の制度は、会社法135条1項に違反する株式取得が行われた場合に、その効力を遡及的に消滅させることで、結果として会社財産の減少を防ぎ、資本充実の原則を維持することを目的としています。

2. 株主平等の原則の維持

会社法は、株主平等の原則を基本としています。株主平等の原則とは、同一種類の株式を発行している場合には、すべての株主を平等に扱うべきであるという原則です。

株式会社が自己の株式を取得すると、特定の株主に対してのみ利益供与を行うことになります。例えば、市場価格よりも高い価格で自己株式を取得した場合、当該株式を売却した株主は、市場価格で売却した場合よりも多くの利益を得ることになります。これは、株主平等の原則に反することになります。

逆執行無効株式購入の制度は、会社法135条1項に違反する株式取得が行われた場合に、その効力を遡及的に消滅させることで、結果として特定の株主に対する利益供与を防ぎ、株主平等の原則を維持することを目的としています。

逆執行無効株式購入の要件

逆執行無効株式購入を認めるためには、以下の要件を満たす必要があります。

1. 会社法135条1項の規定に違反する株式取得であること

まず、逆執行無効株式購入の対象となるのは、会社法135条1項の規定に違反して行われた株式の取得に限られます。会社法135条1項は、原則として株式会社による自己株式の取得を禁止していますが、同条2項以下に定める例外事由に該当する場合には、自己株式の取得が認められます。

2. 「執行を停止すべき正当な理由」があること

次に、「執行を停止すべき正当な理由」があることが必要となります。これは、株式取得の効力をそのままにしておくことが、株主や債権者などのステークホルダーに不利益を与える場合に認められます。

具体的には、以下の要素が考慮されます。

株式取得の目的

株式取得の方法

株式取得の価格

株式取得後の会社の財務状況

株式取得によって株主や債権者に与える影響

これらの要素を総合的に考慮して、「執行を停止すべき正当な理由」があるかどうかが判断されます。

逆執行無効株式購入に関する裁判例

逆執行無効株式購入に関する裁判例としては、最判平成17年7月12日などが挙げられます。この裁判例では、会社が自己株式を取得した目的が、経営支配権の確保や少数株主の排除であったこと、株式取得の価格が市場価格を大幅に上回っていたこと、株式取得によって会社の財務状況が悪化していたことなどが考慮され、「執行を停止すべき正当な理由」があると認められました。

逆執行無効株式購入の効果

逆執行無効株式購入

逆執行無効株式購入が認められると、当該株式の取得は、初めから無効であったことになります。つまり、株式取得によって会社が取得した株式は、元の株主に返還され、会社が支払った対価は、会社に返還されます。

逆執行無効株式購入の制度は、株主や債権者などのステークホルダーを保護するために重要な制度です。ただし、この制度は、あくまで最終的な救済手段であり、安易に認められるべきものではありません。

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