非上場株式における遺言による承継対策

遺言株式非上場における相続対策と事業承継

中小企業のオーナー経営者にとって、会社の将来を左右する重要な問題の一つに事業承継があります。特に、株式が遺言株式非上場の場合、相続対策と事業承継を密接に連携させて計画を進めることが極めて重要となります。本稿では、遺言株式非上場の会社における相続対策と事業承継のポイントについて解説していきます。

１．遺言株式非上場における相続問題のリスク

遺言株式非上場の場合、株式の分散や相続人による経営への介入といったリスクが考えられます。株式の分散は、経営の不安定化や株主間の紛争に発展する可能性があり、事業の継続を脅かす要因となる可能性があります。また、相続人の中に経営に携わる意思や能力がない場合、後継者不足の問題に直面する可能性も懸念されます。これらのリスクを未然に防ぐためには、遺言書の作成や民事信託の活用など、適切な相続対策を講じることが不可欠です。

２．円滑な事業承継を実現するための対策

（１）後継者の決定と育成

円滑な事業承継を実現するためには、後継者を早期に決定し、経営ノウハウや知識を継承するための計画的な育成が重要です。後継者候補となる人物が社内にいる場合は、経営会議への参加や部門責任者への登用などを通じて、実務経験を積ませながら経営者としての資質を養っていく必要があります。外部から後継者を招聘する場合には、事業内容への理解を深めてもらうための研修や、社内とのコミュニケーションを促進するための取り組みが重要となります。

（２）自社株式の評価と対策

遺言株式非上場の自社株式は、評価額が変動しやすく、相続時に多額の相続税が発生する可能性があります。相続税の納税資金不足は、事業の資金繰りを圧迫し、最悪の場合、事業の存続を危ぶむ事態に陥る可能性も考えられます。そのため、事業承継を見据えた自社株式の評価を行い、納税対策を検討しておくことが重要です。具体的には、自社株評価減の特例を活用したり、生命保険を活用した納税資金の準備などを検討する必要があります。

（３）遺言書の作成と活用

相続対策として、遺言書の作成は非常に有効な手段です。遺言書によって、自社株式を特定の後継者に相続させたり、株式の分散を防止したりすることが可能になります。また、後継者以外の相続人に対する遺留分の配慮も必要となります。遺言書の内容は、専門家の意見を聞きながら、将来の事業承継計画や家族状況などを考慮して慎重に決定する必要があります。

３．専門家への相談の重要性

遺言株式非上場の会社における相続対策と事業承継は、複雑な法律や税務の知識を必要とするため、専門家への相談が不可欠となります。弁護士や税理士などの専門家は、会社の状況や経営者の意向を踏まえ、最適な相続対策や事業承継プランを提案してくれます。また、専門家を活用することで、手続きの負担を軽減できるだけでなく、将来発生する可能性のある問題を未然に防ぐこともできます。円滑な事業承継を実現するためにも、早期からの専門家への相談をお勧めします。