保有株式自己資本比率分析と企業価値評価

保有株式自己資本とは

保有株式自己資本とは、企業が他の企業の株式を保有している場合に、その株式の時価評価額が取得原価を上回っている場合に計上される資本勘定のことです。具体的には、企業が他の企業の株式を投資目的で購入し、その株式の時価が上昇した場合、その上昇分が保有株式自己資本として計上されます。逆に、株式の時価が下落した場合には、保有株式自己資本は減少します。

保有株式自己資本の意義

保有株式自己資本は、企業の財務状態を分析する上で重要な指標の一つです。保有株式自己資本が多いということは、企業が保有する株式の価値が上昇しており、企業の資産価値が高まっていることを意味します。また、保有株式自己資本は、企業の資金調達能力を示す指標としても重要です。保有株式自己資本が多い企業は、株式市場から資金を調達しやすいため、新たな投資や事業拡大を行いやすいと言えます。

保有株式自己資本の会計処理

保有株式自己資本の会計処理は、企業会計基準委員会が定める「金融商品会計基準」に基づいて行われます。金融商品会計基準では、保有目的別に株式を分類し、それぞれの分類に応じて会計処理が異なります。例えば、売却目的で保有する株式は「トレーディング目的有価証券」に分類され、時価評価を行い、その評価差額を損益計算書の「金融収益」または「金融費用」に計上します。一方、長期的な保有を目的とする株式は「その他有価証券」または「関係会社株式」に分類され、取得原価で計上されます。ただし、時価が著しく下落し、その下落が一時的なものではないと判断される場合には、減損処理が必要となります。

保有株式自己資本のメリットとデメリット

保有株式自己資本には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

企業の資産価値を高めることができる。

株式市場からの資金調達を容易にすることができる。

配当収入など、株式保有によるインカムゲインを得ることができる。

デメリット

株式市場の変動リスクにさらされる。

株式保有による資金拘束が発生する。

株式の時価下落により、減損処理が必要となる場合がある。

保有株式自己資本に関する留意点

保有株式自己資本は、株式市場の変動によって大きく変動する可能性があるため、その変動リスクを十分に認識しておく必要があります。また、保有株式自己資本は、あくまでも株式の時価評価に基づくものであり、実際に株式を売却して利益を確定するまでは、実現利益ではありません。そのため、保有株式自己資本を過度に重視することなく、企業の収益力や財務体質など、他の指標も総合的に判断することが重要です。