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取得条項付株式死亡

更新:2024-06-08 05:15:18読む:90

取得条項付株式死亡とその実務上の留意点

近年、ベンチャー企業の資金調達手法として、取得条項付株式が注目を集めている。取得条項付株式とは、株主総会決議など一定の事由が発生した場合に、会社または他の株主が、株主から株式を強制的に取得することができる権利(取得条項)が付与された株式を指す。この取得条項は、投資家にとって、投資資金の回収を容易にするというメリットがある一方、創業メンバーにとっては、経営権を失うリスクも孕んでいる。

取得条項付株式に関する法的問題は多岐にわたるが、本稿では、特に、取得条項付株式死亡に焦点を当て、その実務上の留意点について考察する。取得条項付株式死亡とは、取得条項付株式の株主が死亡した場合に、当該株式に付された取得条項に基づき、会社または他の株主が、当該株式を相続人から取得することができる場合をいう。

1.取得条項付株式死亡の法的根拠

取得条項付株式死亡

取得条項付株式死亡の法的根拠は、会社法221条に規定されている。同条は、「会社は、定款で定めた場合に限り、株主が死亡したときは、当該株主の相続人に対し、当該株主が発行済株式の総数の二分の一を超える議決権を有することとなる場合において、当該相続人が取得した株式の全部又は一部を会社が取得すること(以下「相続株式取得」という。)を請求することができる」と定めている。

すなわち、会社が相続株式取得を行うためには、定款に相続株式取得に関する規定を設けておく必要がある。また、相続株式取得の対象となるのは、相続人が取得した株式のうち、発行済株式の総数の二分の一を超える議決権を有することとなる場合に限られる。

2.取得条項付株式死亡における実務上の留意点

取得条項付株式死亡に際しては、以下の点について留意する必要がある。

(1) 定款の整備

取得条項付株式死亡

前述のとおり、相続株式取得を行うためには、定款に相続株式取得に関する規定を設けておく必要がある。具体的には、相続株式取得の対象となる株式の種類、取得価格の決定方法、取得時期などを定めておく必要がある。特に、取得価格については、相続人と会社との間で紛争が生じやすい点であるため、明確に定めておくことが重要となる。

(2) 相続人への通知

会社は、株主が死亡したことを知ったときは、遅滞なく、その旨を相続人に通知しなければならない。また、相続人に対して、相続株式取得に関する事項を記載した書面を交付する必要がある。書面には、相続株式取得の対象となる株式の数、取得価格、取得時期などを記載する。

(3) 相続人との協議

会社は、相続株式取得を行う場合には、相続人と誠実に協議しなければならない。協議が整わない場合には、裁判所に対して、相続株式取得の許可を求める訴えを提起することができる。

3.取得条項付株式死亡に関する税務上の留意点

取得条項付株式死亡

取得条項付株式死亡に際しては、税務上の問題点も生じ得る。例えば、相続税の課税価格の算定にあたり、取得条項の評価が問題となる。取得条項の評価は、相続税評価額に影響を与えるため、適切な評価を行う必要がある。

4.まとめ

取得条項付株式死亡は、会社法上の手続きや税務上の問題など、複雑な問題を含むため、事前に専門家へ相談するなど、適切な対応が必要となる。

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