株式借用書
株式借用書とは
株式借用書とは、株主が保有する株式を、一時的に他人(借主)に貸し出す際に、当事者間で締結する契約書のことです。この書面には、貸借する株式の数、借用期間、利息(使用料)、返還方法など、契約内容が詳細に記載されます。
株式借用書の目的
株式借用書を作成する主な目的は、株式の貸し借りに関するトラブルを未然に防ぐことにあります。口約束だけで株式の貸し借りをした場合、後々「言った、言わない」の水掛け論になったり、当初の約束と異なる条件を押し付けられる可能性も否定できません。
株式借用書を作成することで、契約内容が明確化され、当事者間の認識の齟齬を防ぐことができます。また、万が一トラブルが発生した場合でも、株式借用書が証拠となり、円滑な解決を図ることが期待できます。
株式借用書の記載事項
株式借用書には、一般的に以下の内容が記載されます。
当事者の氏名、住所、会社名
貸借する株式の種類、数
借用期間
利息(使用料)の有無、金額、支払い方法
株式の返還方法
違反時の違約金
その他特約事項
署名、捺印
これらの項目は、あくまでも一般的なものであり、契約内容によっては、上記以外にも必要な記載事項が出てくる場合があります。
株式借用書の作成
株式借用書は、当事者間で作成することも可能ですが、法律の専門家である弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士に依頼することで、契約内容に不備や抜け漏れがないかを確認してもらうことができ、後々のトラブルを回避することに繋がります。
また、インターネット上には、株式借用書の雛形が多数公開されています。これらの雛形を参考に、自身で作成することも可能ですが、雛形はあくまでも一般的な内容となっているため、契約内容によっては、修正や加筆が必要となる場合があります。
株式借用書と株券貸借契約書の違い
株式の貸し借りに関する契約書には、株式借用書の他に、「株券貸借契約書」があります。この2つは、混同されがちですが、明確な違いがあります。
株式借用書は、株主が保有する株式そのものを貸し出す契約書であるのに対し、株券貸借契約書は、株主が保有する「株券」を貸し出す契約書です。
近年では、株券の電子化が進み、株券を発行していない企業も増えています。そのため、株券貸借契約書は、株券を発行している企業の場合にのみ使用される契約書となっています。
株式借用書に関する注意点
株式借用書を作成する際には、以下の点に注意する必要があります。
契約内容を十分に理解した上で、署名・捺印すること
不明点があれば、必ず事前に確認すること
将来的なトラブルを避けるため、契約書は大切に保管すること
株式の貸し借りは、多額の金銭が動く可能性もあるため、安易な気持ちで契約することは大変危険です。トラブルを未然に防ぐためにも、契約書の作成は弁護士に依頼するなど、慎重に進めるようにしましょう。
株式の貸し借りのリスク
株式の貸し借りは、投資家にとって様々なメリットがある一方、一定のリスクも伴います。ここでは、株式の貸し借りにおける主なリスクについて解説します。
株価下落のリスク
株式を貸し出している間、株価が下落した場合、貸し手は損失を被る可能性があります。例えば、1株1,000円で貸し出した株式が、返還時に500円に値下がりしていた場合、貸し手は1株あたり500円の損失を被ることになります。
企業倒産のリスク
株式を貸し出している間に、企業が倒産した場合、貸し手は株式を返還してもらえなくなる可能性があります。企業が倒産すると、株式は紙くず同然となり、貸し手は投資資金を全て失うことになります。
借主の債務不履行リスク
借主が、株式借用書に記載された返済期日までに株式を返還しない、または利息を支払わないといった債務不履行を起こすリスクがあります。このような場合、貸し手は、訴訟などの法的措置を検討する必要が出てくる可能性があります。
株式の流動性リスク
株式の貸し借りは、一般的に、流動性の低い株式を対象に行われることが多いです。流動性が低い株式は、売買が成立しにくいため、貸し手は、希望するタイミングで株式を売却できない可能性があります。
税金に関するリスク
株式の貸し借りによって得られた利益は、税法上、雑所得として扱われます。そのため、確定申告が必要となり、場合によっては、多額の税金を支払わなければならないケースも考えられます。
株式借用書に関するまとめ
株式の貸し借りは、投資家にとって魅力的な投資手法の一つですが、上記のようなリスクが存在することも事実です。株式の貸し借りを検討する際は、メリットだけでなく、リスクについても十分に理解した上で、最終的な投資判断を下すようにしましょう。
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