株式贈与における課税所得金額の算定方法について

株式贈与所得税とは

近年、相続税対策の一環として注目を集めているのが「株式贈与」です。これは、文字通り自社の株式を後継者となる予定の者に贈与する行為を指します。この株式贈与、適切に行えば、後継者への円滑な事業承継を実現する有効な手段となります。しかしながら、株式贈与には、贈与を受けた側の税金である株式贈与所得税という大きな壁が立ちはだかります。

株式贈与所得税の基礎知識

株式贈与所得税とは、個人から株式を贈与により取得した際に発生する税金です。贈与税の一種であり、贈与を受けた側、つまり株式を受贈した側が納税義務者となります。株式贈与は、後継者への生前の事業承継対策として有効な手段ですが、高額な贈与税が課される可能性もあり、注意が必要です。

株式贈与所得税の計算方法

株式贈与所得税の計算は、以下の手順で行います。

贈与株式の評価額を算出する

贈与財産から基礎控除額（110万円）を差し引く

税率区分に応じて税率を乗じる

株式贈与所得税の税率は、贈与財産の価額に応じて5%～55%の10段階で設定されています。

株式贈与所得税の節税対策

株式贈与所得税は、高額になる可能性があり、納税資金の確保が課題となるケースも少なくありません。そのため、事前にしっかりと節税対策を講じておくことが重要です。

1. 少額ずつ贈与する（暦年贈与）

毎年少額ずつ株式を贈与することで、年間の贈与財産価額を抑え、税負担を軽減することができます。この方法を暦年贈与といい、基礎控除額（110万円）の範囲内で贈与を行えば、贈与税はかかりません。

2. 配偶者控除を活用する

婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、最大2,000万円まで控除される「配偶者控除」が利用できます。

これを利用することで、高額な株式贈与であっても、税負担を抑えることが可能になります。

3. 特定事業承継税制の適用を受ける

中小企業の後継者が、先代経営者から株式を贈与により取得した場合に、一定の要件を満たすと、株式贈与所得税の納税猶予や免除を受けられる制度です。

この制度を利用するためには、事業承継計画を策定し、都道府県知事の認定を受ける必要があります。

まとめ

株式贈与は、後継者への事業承継を円滑に進めるための有効な手段ですが、多額の株式贈与所得税が発生する可能性がある点に留意が必要です。

適切な対策を講じることで、税負担を軽減しながら、スムーズな事業承継を実現することができます。

専門家のアドバイスを受けながら、最適な方法を検討していくことが重要です。