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著しく低い価額株式の発行と株主保護の課題

更新:2024-06-15 03:41:55読む:111

著しく低い価額株式の概要

著しく低い価額株式とは、会社法第166条第3号に規定される、その発行価額が著しく低い株式のことを指します。具体的には、発行時において、その発行価額が株式の内容と比して著しく低いと認められる株式をいいます。この規定は、株式発行の公正性を確保し、株主の利益を保護するために設けられています。近年、M&Aや事業承継の手段として、この著しく低い価額株式を用いたスキームが注目されています。

発行要件と手続き

著しく低い価額株式の発行は、株主総会の特別決議によって承認されなければなりません。また、発行に際しては、株主に対して、発行価額が株式の内容と比して著しく低い旨を告知する必要があります。さらに、会社法施行規則第4条の2において、発行価額の決定根拠となる財産評価の方法、評価額の算定根拠等の開示が義務付けられています。これらの要件を満たさない限り、著しく低い価額株式の発行は無効となります。

メリットとデメリット

著しく低い価額株式の発行には、以下のようなメリットとデメリットが存在します。

メリット

後継者への株式譲渡を円滑に行うことができる。(低廉な価格で株式を取得できるため)

従業員持株会などを利用し、従業員のモチベーション向上を図ることができる。

ベンチャー企業において、資金調達手段の一つとして活用できる。

デメリット

既存株主の利益を害する可能性がある。(株式価値の希薄化)

税務上の問題が発生する可能性がある。(贈与税等の課税リスク)

著しく低い価額株式

手続きが複雑であり、専門家のサポートが必要となることが多い。

活用事例

著しく低い価額株式は、様々な場面で活用されています。例えば、以下のようなケースが挙げられます。

事業承継において、後継者に経営権をスムーズに移行するために、後継者が著しく低い価額株式を取得し、経営権を握る。

従業員持株会において、従業員が著しく低い価額株式を取得し、会社への帰属意識を高める。

ベンチャー企業が、新たな資金調達手段として、著しく低い価額株式を発行し、資金を調達する。

注意点

著しく低い価額株式を利用する際には、以下の点に注意する必要があります。

発行価額が著しく低く設定されている場合には、税務当局から贈与税等の課税対象とみなされる可能性があります。そのため、事前に税務上のリスクを十分に検討しておく必要があります。

既存株主の権利を害する可能性があるため、既存株主に対して、著しく低い価額株式の発行に関する十分な説明を行う必要があります。

手続きが複雑であるため、弁護士や公認会計士等の専門家のサポートを受けることが重要となります。

著しく低い価額株式

著しく低い価額株式は、適切に活用すれば、事業承継や従業員へのインセンティブ付与等、企業にとって非常に有効な手段となりえます。しかし、その一方で、税務リスクや既存株主との利害調整など、注意すべき点も多岐にわたります。そのため、著しく低い価額株式の導入を検討する際には、専門家の意見を聞きながら、慎重に進めていくことが重要となります。

著しく低い価額株式

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