株式譲渡損失の繰越控除と確定申告
株式売却益と確定申告:基礎知識と実践ガイド
株式投資は、現代社会において資産運用の一つの手段として広く認識されています。特に、近年はスマートフォンの普及などにより、個人投資家にとって株式投資がより身近なものとなりました。株式投資の魅力は、値上がりによるキャピタルゲイン(売却益)と、企業の業績に応じて支払われるインカムゲイン(配当金)の二つを期待できる点にあります。しかし、株式投資にはリスクも伴います。投資した株式の価格が下落すれば、損失を被る可能性もあるのです。
株式投資で利益が出た場合、税金が発生することをご存知でしょうか?株式の売却益は「譲渡所得」として扱われ、所得税と住民税の課税対象となります。確定申告が必要となるケースもあるため、株式投資を行う上で、税金の知識は欠かせない要素と言えるでしょう。そこで、本稿では、株式投資における税金の中でも特に重要な「株式売り確定申告」について、基礎知識から実践的な内容まで詳しく解説していきます。
株式売却益にかかる税金
株式投資で得た利益には、原則として約20%(所得税15%、住民税5%)の税金がかかります。これは、給与所得など他の所得と分離して計算する「分離課税」と呼ばれる方法が適用されるためです。具体的な税額は、年間の株式売却益などの総額から、基礎控除額(年間20万円)と、証券会社に支払う手数料などの必要経費を差し引いた金額に対して計算されます。
ただし、年間の株式売却益などが20万円以下で、かつ、給与所得者が特定口座源泉徴収口座を利用している場合は、確定申告は不要です。証券会社がすでに税金を源泉徴収しているため、確定申告を行う必要はありません。しかし、特定口座源泉徴収口座を利用していない場合や、年間の株式売却益などが20万円を超える場合には、確定申告が必要となります。
確定申告が必要なケース
確定申告が必要となるケースは、主に以下の3つです。
1. 特定口座源泉徴収口座を利用していない場合
特定口座源泉徴収口座を利用していない場合、株式売却益にかかる税金は、自分で計算して納付する必要があります。そのため、年間の株式売却益などが20万円以下であっても、確定申告を行う必要があります。
2. 年間の株式売却益などが20万円を超える場合
年間の株式売却益などが20万円を超える場合、基礎控除額を超えるため、確定申告を行う必要があります。
3. 損失を繰り越したい場合
株式投資で損失が発生した場合、その損失を翌年以降3年間、株式売却益から控除することができます。これを「損失の繰越控除」と言います。損失の繰越控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。
上記以外にも、確定申告が必要となるケースがあります。詳しくは、国税庁のウェブサイトなどを参照するか、税務署や税理士に相談することをおすすめします。
株式売り確定申告の手順
株式売り確定申告は、以下の手順で行います。
1. 必要書類を準備する
株式売り確定申告に必要な書類は、以下のとおりです。
確定申告書B
譲渡所得の内訳書
株式等の譲渡の計算明細書
特定口座年間取引報告書
源泉徴収票(給与所得者等の場合)
マイナンバーカードまたは通知カード
2. 確定申告書を作成する
必要書類が揃ったら、確定申告書を作成します。確定申告書は、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。また、税務署で入手することも可能です。
3. 確定申告書を提出する
作成した確定申告書は、税務署に提出します。提出方法は、郵送、オンライン(e-Tax)、持参のいずれかを選択できます。
確定申告の提出期限は、毎年3月15日です。ただし、2月16日から3月15日までの間に確定申告書を提出する場合には、税務署の窓口が大変混雑するため、時間に余裕を持って提出することをおすすめします。
株式売り確定申告をスムーズに行うためのポイント
株式売り確定申告をスムーズに行うためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
1. 年間取引報告書を保管しておく
証券会社から毎年送付される年間取引報告書は、株式売り確定申告の際に必要となる重要な書類です。紛失しないように、大切に保管しておきましょう。
2. 確定申告書の作成は早めに始める
確定申告書の作成には、ある程度の時間と手間がかかります。提出期限ギリギリになって慌てることのないよう、早めに準備を始めましょう。
3. わからないことは税務署に相談する
株式売り確定申告について、わからないことや疑問点があれば、税務署に相談しましょう。税務署では、確定申告に関する無料相談を受け付けています。
まとめ
株式投資で利益が出た場合、確定申告が必要となるケースがあります。確定申告の手続きは複雑ではありませんが、初めて行う場合は戸惑うこともあるでしょう。本稿で紹介した内容を参考に、スムーズに株式売り確定申告を済ませましょう。
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