概算取得費譲渡費用考慮型株式価値評価モデル

概算取得費譲渡費用併用株式の概要と特徴

近年、スタートアップ企業の資金調達方法として注目を集めているのが、概算取得費譲渡費用併用株式です。従来の株式とは異なる特徴を持つこの株式は、発行企業と投資家双方にとってメリットがあると考えられています。本稿では、概算取得費譲渡費用併用株式の概要、特徴、メリット・デメリット、そして今後の展望について解説していきます。

１. 従来の株式発行と概算取得費譲渡費用併用株式の違い

従来の株式発行では、発行企業は投資家から出資を受ける際に、株価を設定し、その株数に応じて株式を発行していました。この際、企業価値の評価や将来の見通しなどを考慮して株価が決定されますが、スタートアップ企業のように業績や将来の見通しが不透明な場合には、適切な株価を設定することが困難な場合も少なくありませんでした。

一方、概算取得費譲渡費用併用株式では、将来の株式価値の上昇を見込み、現時点では低い価格で株式を取得できる権利を投資家に付与します。投資家は、将来、企業が株式公開（IPO）やM&Aなどにより株式を売却する際に、あらかじめ定められた価格で株式を取得し、売却益を得ることができます。この際、投資家が株式を取得するために支払う価格には、将来の株式価値の上昇分が上乗せされているため、発行企業は従来の株式発行よりも多額の資金を調達することが可能となります。

２. 概算取得費譲渡費用併用株式のメリット・デメリット

２-１. 発行企業側のメリット

従来の株式発行よりも多額の資金調達が可能

株式の希薄化を抑制できる

投資家との関係性を強化できる

２-２. 発行企業側のデメリット

将来、株式価値が上昇した場合、投資家に多額の利益をもたらす可能性がある

契約内容が複雑になる場合があり、専門家のサポートが必要となる

２-３. 投資家側のメリット

将来の株式価値の上昇によるキャピタルゲインを期待できる

発行企業の成長を支援することで、高いリターンを得られる可能性がある

２-４. 投資家側のデメリット

投資した企業が成長せず、株式価値が上昇しない場合は、投資元本を回収できないリスクがある

株式の流動性が低く、売却が難しい場合がある

３. 概算取得費譲渡費用併用株式の今後の展望

概算取得費譲渡費用併用株式は、スタートアップ企業にとって魅力的な資金調達方法として、今後も普及していくことが予想されます。特に、成長が見込まれる分野や革新的な技術を持つ企業においては、積極的に活用される可能性があります。一方で、投資家にとっては、リスクとリターンを慎重に見極めた上で投資判断を行う必要があります。発行企業と投資家双方にとってメリットのあるスキームとなるよう、制度設計や運用の面での工夫が求められます。