自己資金株式

## 自己資金株式の活用による資金調達と企業価値向上

### 自己資金株式を活用した資金調達

自己資金株式は、企業が自社株を発行して資金を調達する方法です。新株発行や第三者割当増資とは異なり、既存の株主から資金を調達することから、既存株主の持ち分を希薄化することなく、かつ、外部からの資金調達に比べて低コストで資金を調達できます。

具体的な方法は、企業が自社株を取得し、それを市場で売却したり、第三者に譲渡することで資金を得ます。取得した自社株は、発行済み株式総数の5％以内であれば、原則として税務上の中立処理が適用されます。また、自社株を取得した後は、自己株式として保有することもできます。

### 自己資金株式の活用による企業価値向上

自己資金株式は、資金調達の手段としてだけでなく、企業価値向上の手段としても活用できます。

まず、自社株を取得することで発行済み株式総数が減少するため、1株あたりの利益や配当金が上昇し、企業価値が向上します。また、自己株式を保有することで、市場での自社株買い付けや新株発行などの柔軟な資本政策が可能となり、株価の安定化や株主還元の強化につながります。

さらに、自社株取得には、以下のメリットもあります。

- 役職員へのインセンティブ付与としての活用

- M&A時の株式交換での利用

- 過剰資本を防ぐための自己資本の適正化

### 上場企業における自己資金株式活用

上場企業では、自己資金株式を活用した資金調達や企業価値向上の手法が積極的に採用されています。特に、以下のような企業が自己資金株式活用に積極的です。

- 業績が好調で、余剰資金が豊富な企業

- 株主還元に積極的な企業

- 海外展開や事業拡大を計画している企業

### 自己資金株式活用の際の留意点

自己資金株式活用においては、以下の点に留意する必要があります。

- 過度の自社株取得は、企業価値の棄損や資本コストの上昇につながる可能性があります。

- 市場での自社株売却時に株式市場に悪影響を与える可能性があります。

- 自社株取得のタイミングや方法は、株価や市場環境を考慮して慎重に決定する必要があります。

### 自己資金株式活用の傾向

近年、自己資金株式の活用は、企業にとって重要な資金調達・企業価値向上手段として定着しつつあります。今後ますます多くの企業が自己資金株式活用を検討することが予想されます。