一般財団法人株式保有制限

一般財団法人株式保有制限に関する考察

近年、公益法人制度改革の一環として、一般財団法人における株式保有制限の在り方が改めて問われている。従来、一般財団法人は、公益性を確保するため、その目的たる事業に必要と認められる範囲内においてのみ株式を保有することが認められてきた。しかし、近年、経済のグローバル化や多様化が進む中で、一般財団法人を取り巻く環境も大きく変化しており、従来の枠組みでは対応が困難なケースも散見されるようになってきた。

株式保有制限の現状と課題

現行の制度では、一般財団法人株式保有制限は、原則として、その目的たる事業に必要と認められる範囲内とされている。具体的には、事業に必要な資金調達、取引関係の安定化、事業提携の推進等が認められる場合に限り、株式保有が認められる。しかし、これらの要件を満たすか否かの判断は、個々のケースごとに、経済状況や社会通念等を総合的に勘案して行われるため、その線引きは必ずしも明確とは言えない。そのため、一般財団法人においては、株式保有の是非を巡って、行政庁との間で、解釈や運用を巡る意見の相違が生じるケースも少なくない。

また、近年では、スタートアップ企業への投資や、社会的インパクト投資など、従来型の投資スキームでは対応が難しい新たな資金ニーズも高まっており、一般財団法人においても、こうしたニーズに対応した、より柔軟な株式保有のあり方が求められるようになっている。しかし、現行の一般財団法人株式保有制限は、こうした新たなニーズへの対応が十分とは言えず、一般財団法人の活動の制約となっているとの指摘もある。

今後の展望

今後、一般財団法人における株式保有制限の在り方については、公益性の確保と、社会経済情勢の変化への対応の両立という観点から、更なる検討が必要であると考えられる。具体的には、株式保有の目的や範囲、保有比率の上限、議決権行使の在り方等について、より明確な基準を設けることや、行政庁による審査の透明性を高めることなどが考えられる。また、一般財団法人自身も、株式保有に関するガバナンス体制を強化し、透明性と説明責任を向上させることが求められる。

さらに、近年注目されている「インパクト投資」のように、経済的リターンと同時に、社会的な課題解決への貢献も目指す投資手法については、一般財団法人の公益性を活かせる分野として、積極的に検討を進めるべきである。そのためには、インパクト投資に関する専門知識やノウハウを持った人材の育成や、投資先企業の選定基準の明確化など、新たな取り組みが必要となるだろう。

一般財団法人における株式保有制限は、公益性の確保と社会経済活動への貢献のバランスをどのように取るかが問われる、極めて重要なテーマである。今後、関係者間で活発な議論が行われ、より良い制度設計に繋がることを期待したい。