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少数株主保護と株式買取請求権の法的課題

更新:2024-06-08 04:58:13読む:136

株式買取請求権とその周辺

会社法において、株主は会社に対して重要な事項について意見を表明し、議決権を行使することで経営に参加する権利を有しています。しかし、会社の経営方針や他の株主との意見の対立などにより、自身の保有する株式が不利益を被る可能性もあります。このような場合に、株主が自己の権利を守るための制度として、株式買取義務が存在します。

株式買取義務とは

株式買取義務とは、会社法上の特定の事由が発生した場合に、株主が会社に対して自己の保有する株式を買い取るように請求できる権利のことです。この権利は、株主が会社の経営方針や組織再編などに反対する場合に、自己の保有する株式を会社に買い取らせることで、会社から退出する道を開くものです。

株式買取義務が発生するケース

株式買取義務が発生するケースは、会社法で具体的に定められています。主なものとしては、以下の通りです。

株式買取請求権

株式買取請求権

1. 合併、会社分割、株式交換・移転

これらの組織再編は、株主にとって保有する株式の価値や権利内容に大きな影響を与える可能性があります。そのため、反対する株主に対しては、株式買取義務を発生させることで、会社から退出する機会を保障しています。

2. 定款変更

株式買取請求権

会社の目的や事業内容、株主の権利に関する重要な変更を行う場合、反対する株主に対して株式買取義務が発生することがあります。これは、定款変更によって株主の利益が著しく害される可能性を考慮したものです。

3. 株式の譲渡制限に関する規定の変更

株式の譲渡を制限する規定を変更する場合、反対する株主に対して株式買取義務が発生することがあります。これは、譲渡制限の変更によって株主の株式の流動性が低下する可能性を考慮したものです。

株式買取価格の決定

株式買取義務が発生した場合、会社と株主の間で買取価格について協議が行われます。しかし、協議が調わない場合は、裁判所が買取価格を決定します。買取価格は、原則として「裁判所の決定時における客観的な会社の経済的価値を基礎として、会社法の規定に従い算定される時価」とされています。

株式買取請求権の濫用

株式買取義務は、株主の権利を守るための重要な制度ですが、一方で、その権利を濫用するケースも考えられます。例えば、会社に不当な圧力をかけるために、株式買取請求権を乱用するケースなどが挙げられます。このような濫用を防ぐためには、会社側も適切な対応をとることが重要です。

まとめ

株式買取義務は、会社の経営方針や組織再編などに反対する株主に対して、会社から退出する機会を保障する重要な制度です。一方で、その権利の濫用を防ぐことも重要であり、会社と株主が適切に対話し、問題解決を図ることが求められます。

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