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少数株主権行使と株式売渡請求訴訟における法的考察

更新:2024-06-08 04:57:53読む:108

株式売渡請求訴訟の概要

株式売渡請求訴訟とは、会社法上の紛争解決手段の一つであり、株主が、会社または他の株主に対して、その保有する株式を買い取るように請求する訴訟を指します。本訴訟は、株主間の紛争や、会社と株主との間の紛争が深刻化し、株式の保有を継続することが困難になった場合などに利用されます。

株式売渡請求訴訟の提起要件

株式売渡請求訴訟を提起するためには、会社法上の厳格な要件を満たす必要があります。主な要件は以下の通りです。

株式売渡請求訴訟

1. 正当な事由の存在

請求する側には、株式の売渡しを請求する「正当な事由」が必要となります。正当な事由とは、客観的に見て、請求者が株式の保有を継続することが著しく困難または不相当と認められるような事情を指します。具体的には、以下のような場合が挙げられます。

会社経営の方針に関する重大な対立

株主間の著しい信頼関係の喪失

少数株主に対する支配株主による不当な圧力

2. 売渡請求の対象となる株式

原則として、売渡請求の対象となる株式は、請求者自身が保有する株式となります。ただし、会社法340条は、例外的に、他の株主が保有する株式の売渡しを請求できる場合があります。例えば、ある株主が会社に著しい損害を加えた場合、他の株主は、その株主が保有する株式の売渡しを会社に対して請求することができます。

3. 価格決定の基準

株式売渡請求訴訟

株式の売渡価格は、原則として、訴訟における当事者間の協議によって決定されます。当事者間で協議が整わない場合には、裁判所が、会社の財産状況、収益力、株式の市場価格などを考慮して、価格を決定します。ただし、会社法は、価格決定に関する具体的な基準を定めていません。そのため、裁判例や学説を参照しながら、ケースバイケースで判断されることになります。

株式売渡請求訴訟の実際

株式売渡請求訴訟は、その性質上、複雑かつ専門的な知識を要する訴訟です。そのため、弁護士などの専門家のサポートを受けることが不可欠となります。また、本訴訟は、長期化することも多く、多大な時間と費用を要する可能性があることにも留意が必要です。

株式売渡請求訴訟の事例

例えば、ある中小企業において、創業メンバーの一人が、経営方針を巡って他の株主と対立し、会社を去ることになったとします。この場合、退社した創業メンバーは、自身が保有する株式の売渡しを他の株主に対して請求することができます。この際、株式の価格や支払方法などを巡って、当事者間で交渉が行われますが、交渉がまとまらない場合には、株式売渡請求訴訟を提起することになります。

株式売渡請求訴訟のメリット・デメリット

株式売渡請求訴訟は、紛争当事者にとって、それぞれメリットとデメリットがあります。

メリット

株式を強制的に売却できる可能性がある

紛争を根本的に解決できる可能性がある

デメリット

訴訟費用がかかる

時間がかかる

株式売渡請求訴訟

必ずしも希望通りの結果が得られるとは限らない

株式売渡請求訴訟を避けるために

株式売渡請求訴訟は、会社経営に大きな影響を与える可能性のある訴訟です。そのため、可能な限り、訴訟を回避することが望ましいと言えます。訴訟を避けるためには、日頃から、株主間で、会社の経営方針や重要な意思決定について、十分にコミュニケーションを図り、相互理解を深めておくことが重要です。また、株主間契約を締結し、紛争が生じた場合の解決方法をあらかじめ定めておくことも有効な手段となります。

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