古川電機株価変動要因分析レポート

古河電気工業株式会社：100年以上の歴史を誇る電線・金属メーカー

古河電気工業株式会社は、1884年の創業以来、電線・ケーブル事業を中核に、金属、自動車部品、エレクトロニクスなど、幅広い事業を展開してきた総合メーカーである。その歴史は、日本の電化とともに歩んできたと言えるだろう。古河電工の事業セグメントは、エネルギー、産業インフラ、エレクトロニクス、自動車の4つに大別される。エネルギーセグメントでは、電力ケーブルや通信ケーブルなど、社会インフラを支える製品を提供している。産業インフラセグメントでは、建設機械や鉄道車両向けに、高機能な金属製品を提供している。エレクトロニクスセグメントでは、半導体や光部品など、情報通信分野を支える製品を提供。自動車セグメントでは、自動車用ワイヤーハーネスなど、自動車の進化を支える製品を提供している。このように、古河電工は多岐にわたる事業を通じて、現代社会に不可欠な製品・サービスを提供している。

業績の現状と今後の展望

2023年3月期の連結決算は、売上高1兆4,425億円、営業利益は934億円と、増収増益となった。これは、世界経済の回復に伴う需要の増加や、為替の円安効果によるものと考えられる。特に、エネルギー分野向けやデータセンター向けなどの電線・ケーブル需要が好調であった。また、自動車部品事業においても、車載用電線の需要が堅調に推移したことが、増収に貢献したと言えるだろう。しかしながら、世界的な半導体不足や原材料価格の高騰など、依然として不透明な要素も残されている。古河電工は、これらの課題に対して、調達先の多様化やコスト削減努力など、様々な対策を講じている。

今後の成長戦略

古河電工は、2025年度を最終年度とする中期経営計画において、「未来を拓く『総合力』で、持続可能な社会の発展に貢献する」ことを目指している。そのために、重点施策として、以下3点を掲げている。

事業ポートフォリオの進化：成長が見込める事業への選択と集中を進めるとともに、新規事業の創出にも積極的に取り組んでいく。

グローバル展開の加速：海外市場における販売体制の強化や現地生産の拡大などを通じて、更なる成長を図っていく。

DX推進による競争力強化：デジタル技術を活用した生産性の向上や新たなビジネスモデルの構築など、DXを積極的に推進していく。

古河電機の株価の動向

古河電機の株価は、業績の好調や今後の成長への期待感から、堅調な推移を見せている。2023年8月現在の株価は、4,000円台後半で推移しており、年初来高値を更新している。PER（株価収益率）は15倍程度、PBR（株価純資産倍率）は1.2倍程度と、割安感も指摘されている。配当利回りは2%台後半と、投資妙味も高いと言えるだろう。しかし、世界経済の減速懸念や原材料価格の高騰など、リスク要因も存在するため、今後の古河電機の株価の動向には注意が必要である。

投資判断

古河電工は、電線・ケーブル業界のリーディングカンパニーとして、安定した収益基盤を築いている。また、成長分野への積極的な投資やDX推進など、将来に向けた取り組みも積極的に行っている。これらのことから、長期的な成長が期待できる企業と言えるだろう。ただし、世界経済の動向や競争環境の変化など、投資判断にあたっては、様々な要因を考慮する必要がある。