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株式代理無効

更新:2024-06-08 03:40:48読む:81

株式代理無効の概要

株式代理無効とは、株主総会における議決権行使について、代理人による行為が一定の要件を満たさない場合に、その効力を否定する制度です。会社法上、株主総会は、会社の重要な意思決定を行う機関として位置づけられており、株主は議決権を行使することによって、会社の経営に参画することができます。しかし、株主総会に出席できない株主のために、代理人によって議決権を行使できる制度(株式代理制度)が設けられています。

一方、この株式代理制度が悪用されると、会社の意思決定が歪められる可能性があります。例えば、多数の株主から議決権の代理権を不正に取得した者が、自己の利益のために議決権を行使するといったケースが考えられます。このような事態を防ぐために、会社法は株式代理無効の制度を設け、一定の場合に代理人による議決権行使の効力を否定しています。

株式代理無効の要件

会社法409条1項は、以下のいずれかに該当する場合には、株主総会における議決権の代理行使は無効となると定めています。

代理人が株主でないとき。

株式代理無効

代理人が取締役、会計監査人、執行役、会計参与、監査役、清算人、破産管財人若しくは会社更生法による管財人その他法令に定める者であるとき。

書面又は電磁的記録によらない委任状が提出されなかったとき。

株式代理無効

株主総会の目的である事項について株主の意見を表明し、又は表明しないこと及びその内容を代理人に指示する旨の記載がない書面又は電磁的記録によらない委任状が提出されたとき。

これらの要件は、株主総会における議決権行使の公正性を確保するために設けられています。例えば、代理人が株主でない場合には、その代理人は会社の経営に関与する立場にないため、株主の利益を代表して議決権を行使するとは認められないと考えられます。また、代理人が会社の役員等である場合には、自己の利益のために議決権を行使するおそれがあるため、代理権行使を制限する必要があります。

株式代理無効の効果

株式代理無効が認められると、当該代理人による議決権行使は無効となり、株主総会の決議においても、当該議決権行使はなかったものとして扱われます。そのため、もし、無効とされた議決権行使が、株主総会の決議の成立に影響を与えていた場合には、その決議自体も無効となる可能性があります。

株式代理無効に関する実務上の留意点

株式代理無効

実務上、株式代理無効が問題となるケースは、主に以下の2点です。

委任状の記載不備

代理権濫用

委任状の記載不備とは、例えば、株主総会の目的である事項について株主の意見を表明する旨の記載がなかったり、代理人に指示する内容が明確でなかったりするなど、会社法上の要件を満たしていない場合を指します。このような場合には、株式代理無効が認められる可能性があります。

また、代理権濫用とは、代理人が、株主の利益を害して、自己または第三者の利益のために議決権を行使することを指します。例えば、親会社が、子会社の株主総会において、子会社の利益を無視して、親会社の利益のために議決権を行使するといったケースが考えられます。このような場合には、株式代理無効が認められるだけでなく、株主代表訴訟の対象となる可能性もあります。

株式代理無効は、株主総会における議決権行使の公正性を確保するために重要な制度です。株主は、株式代理制度を利用する際には、委任状の記載内容をよく確認し、代理権の濫用が行われないよう注意する必要があります。

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