株式共同保有者

株式共同保有契約とその実務上のポイント

株式共同保有契約は、複数の株主が共同で株式を保有し、その株式に関する権利行使や処分などを共同で行うことを定める契約です。会社法上、株式共同保有者という概念は存在しませんが、実務上、株式の共同保有は広く行われており、その法的関係を明確にするために株式共同保有契約が締結されることが一般的です。

株式共同保有契約を締結する目的

株式共同保有契約を締結する目的は、主に以下の点が挙げられます。

共同保有株式に関する権利行使や処分を制限することで、会社の経営の安定化を図ること

共同保有株式の処分に際して、他の株式共同保有者に優先的に取得させること（先買権）や、共同で株式を譲渡すること（共同売却権）を定めることで、株式の分散を防ぎ、経営支配権の維持を図ること

株式の議決権行使について、共同保有者間で協議の上、統一的に行使することを定めることで、会社に対する影響力を確保すること

株式共同保有契約の内容

株式共同保有契約の内容は、当事者間の合意により自由に定めることができますが、一般的には以下のような条項が盛り込まれます。

1. 共同保有株式に関する事項

共同保有株式の数、種類、発行会社

各株式共同保有者の持分割合

2. 株式の譲渡に関する事項

他の共同保有者への譲渡の制限

第三者への譲渡の制限（事前承諾、共同売却、先買権など）

相続、合併などによる株式の承継

3. 議決権の行使に関する事項

議決権行使の共同化

議決権行使に関する協議方法

協議が整わない場合の解決方法（仲裁、多数決など）

4. その他

株式の担保提供の制限

契約違反時の違約金

契約の有効期間、解除

株式共同保有契約締結時の注意点

株式共同保有契約を締結する際には、以下の点に注意する必要があります。

独占禁止法上の問題：株式共同保有契約の内容によっては、独占禁止法上問題となる可能性があります。特に、競合企業間で株式共同保有契約を締結する場合には、注意が必要です。

税務上の問題：株式共同保有契約の締結やその後の株式の譲渡などについては、税務上の問題が発生する可能性があります。事前に税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

将来発生しうる事態への備え：株式共同保有契約は、長期にわたる契約となることが多いため、将来、会社や株式共同保有者の状況が変化した場合に備え、契約内容を柔軟に見直せるような条項を設けておくことが重要です。

株式共同保有契約は、会社の経営の安定化や支配権の維持など、様々な目的で利用される重要な契約です。契約を締結する際には、弁護士などの専門家に相談し、自社の状況に合った内容の契約を締結することが重要です。