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株式第三者への譲渡の効力を争う

更新:2024-06-08 01:16:58読む:184

株式の第三者への譲渡をめぐる紛争

会社法上、株式は原則として自由に譲渡できるものとされています(会社法127条)。しかし、実際には、会社の経営や株主間の関係を適切に維持するために、定款で株式の譲渡について制限を設けているケースが多く見られます。このような制限に違反して行われた株式の譲渡は、無効とされる可能性があります。本稿では、株式第三者への譲渡の効力を争う典型的な事例と、その際に争点となる法的論点について解説します。

1. 定款による譲渡制限

会社法は、定款で株式の譲渡について、取締役会の承認を必要とする旨の規定を設けることを認めています(会社法128条、349条)。このような定款の規定がある場合、取締役会の承認を得ずに譲渡された株式は、原則として無効となります。ただし、譲渡の相手方が善意かつ重大な過失がない場合(会社法129条)や、会社が不当に承認を拒否した場合(会社法130条)には、譲渡の効力が認められることがあります。

2. 株式第三者への譲渡の効力を争う場面

株式の第三者への譲渡の効力が争われる場面としては、以下のようなケースが考えられます。

(1) 既存株主による無効の主張

既存株主は、定款に違反して行われた株式の譲渡について、その無効を主張することが考えられます。例えば、既存株主間で、特定の第三者に株式を譲渡しないという合意(譲渡制限契約)を締結していたにもかかわらず、一方の株主が合意に違反して第三者に株式を譲渡した場合、他の株主は、当該譲渡の無効を主張することができます。

(2) 会社による無効の主張

会社もまた、定款に違反して行われた株式の譲渡について、その無効を主張することが考えられます。例えば、定款で競業避止条項を設けているにもかかわらず、競合他社の関係者に株式が譲渡された場合、会社は、当該譲渡の無効を主張することができます。

(3) 第三者による譲渡の無効の主張

株式の譲渡を受けた第三者が、後に譲渡に瑕疵があったことを理由に、自ら譲渡の無効を主張するケースも考えられます。例えば、第三者が、譲渡人が会社の代表取締役であると誤信して株式を取得した場合、後に譲渡人が代表取締役の権限を有していなかったことが判明すれば、第三者は、当該譲渡の無効を主張することができます。

3. 争点となる法的論点

株式第三者への譲渡の効力を争う場合、以下のような法的論点が問題となることがあります。

(1) 譲渡制限条項の有効性

株式譲渡

まず、定款に定められた譲渡制限条項が、そもそも有効であるかが問題となります。譲渡制限条項は、株主の財産権を制限するものであるため、その内容が合理的かつ必要最小限度のものでなければ、公序良俗違反として無効とされる可能性があります(会社法1条2項)。

(2) 譲渡制限条項の解釈

譲渡制限条項が有効であると認められる場合でも、その具体的な解釈が問題となることがあります。例えば、取締役会の承認を必要とする旨の定款の規定がある場合、どのような場合に承認が得られたとみなされるのか、また、会社が承認を拒否できる要件は何か、といった点が争点となることがあります。

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(3) 善意取得の成否

譲渡制限条項に違反して株式を取得した第三者が、善意かつ重大な過失がないことを主張する場合、その成否が問題となります。具体的には、第三者が譲渡制限条項の存在を知らなかったこと、また、知らなかったことにつき過失がないことを、客観的な証拠に基づいて立証する必要があります。

4. 裁判例

株式第三者への譲渡の効力を争う事案に関する裁判例は数多く存在します。例えば、最高裁判所は、譲渡制限条項の有効性について、株主総会の特別決議によって定められた譲渡制限条項であっても、その内容が著しく不合理である場合には、公序良俗違反として無効となる可能性があることを示しました(最判平成16年7月13日)。

5. まとめ

株式譲渡

株式の第三者への譲渡は、会社の経営や株主間の関係に大きな影響を与えるため、慎重に進める必要があります。特に、定款で譲渡制限が設けられている場合には、事前にその内容を十分に確認し、必要な手続きを踏むことが重要です。万が一、譲渡の効力を争う事態になった場合には、弁護士等の専門家の助言を得ながら、適切に対応することが肝要です。

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