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株式譲渡承認請求に対する取締役会決議の法的考察

更新:2024-06-08 01:02:22読む:193

株式譲渡承認請求と取締役会決議:実務上の留意点

会社の支配関係や株主構成に大きな影響を与える株式譲渡。特に非公開会社においては、譲渡の自由が制限されるケースが多く見られます。その制限の一つとして、会社法上、定款で定めることで導入可能な「株式譲渡制限会社」における、株式譲渡承認請求取締役会決議があります。

本稿では、株式譲渡制限会社における株式譲渡承認請求と、それに伴う取締役会決議について、実務上の留意点を交えながら解説していきます。

1.株式譲渡制限会社における株式譲渡

株式譲渡制限会社とは、定款の規定により、株主がその所有する株式を自由に譲渡することを制限している会社を指します。この制限は、会社の経営の安定化や、望ましくない株主の侵入を防ぐ目的で設けられることが多いです。株式譲渡制限会社では、株主が株式を譲渡する場合、会社の承認を得ることが必要となります。

2.株式譲渡承認請求と取締役会決議

株主が株式を譲渡したい場合、会社に対して株式譲渡承認請求を行う必要があります。この請求を受けた会社は、取締役会決議を経て、譲渡の承認を行うかどうかを決定します。この取締役会決議が、株式譲渡承認請求取締役会決議です。

株式譲渡承認請求取締役会決議においては、譲渡の目的、譲渡先の属性、譲渡価格など、様々な要素を考慮して、会社にとって不利益となる譲渡ではないか、慎重に判断する必要があります。特に、譲渡によって会社の支配関係が大きく変わる可能性がある場合や、譲渡先が競業会社である場合などは、より慎重な検討が求められます。

3.株式譲渡承認請求取締役会決議における留意点

株式譲渡承認請求取締役会決議を行う際には、以下の点に留意する必要があります。

株式譲渡

(1) 承認基準の明確化

株式譲渡

会社法上、株式譲渡を承認するかどうかについての明確な基準は定められていません。そのため、定款や株主間契約において、譲渡承認の基準を具体的に定めておくことが重要となります。例えば、「譲渡価格が適正であること」「譲渡先が会社の事業に悪影響を及ぼさないこと」といった基準を設けることが考えられます。

(2) 適正な手続き

株式譲渡承認請求取締役会決議は、法令や定款で定められた手続きに則って行われる必要があります。議題の通知や議事録の作成など、必要な手続きを怠ると、決議が無効となる可能性もあります。特に、取締役会の招集通知には、株式譲渡承認請求に関する事項を具体的に記載し、取締役が事前に十分な検討を行えるようにする必要があります。

株式譲渡

(3) 利益相反取引への対応

株式譲渡において、譲渡当事者である株主が、会社と利益相反関係にある場合には、特別の注意が必要です。例えば、取締役が自身の保有する株式を会社に譲渡する場合などが該当します。このような場合には、会社法上の利益相反取引に関する規定に基づき、適切な手続きを踏む必要があります。

4.株式譲渡承認請求と少数株主保護

株式譲渡制限は、会社の経営の安定化に資する一方で、少数株主の権利を制約する側面も持ち合わせています。そのため、株式譲渡承認請求取締役会決議においては、少数株主の権利を不当に侵害することのないよう、公正な判断が求められます。例えば、譲渡価格が著しく低い場合や、譲渡によって少数株主が不利益を被る場合には、承認を拒否することが考えられます。

5.実務対応の重要性

株式譲渡承認請求と株式譲渡承認請求取締役会決議は、会社の将来を左右する重要な意思決定です。そのため、法令や定款の規定を遵守することはもちろんのこと、実務上の様々な論点も踏まえた上で、慎重かつ適切な対応を行うことが求められます。専門家のアドバイスを受けるなど、適切なリスク管理を行うことが重要と言えるでしょう。

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