国税庁発行：株式譲渡における税務上の留意点解说パンフレット

株式譲渡と税金：個人投資家のための基礎知識

株式投資は、企業の成長による値上がり益や配当金収入など、魅力的な投資手段として、多くの人々に選ばれています。しかし、株式投資で利益を得るためには、売却益（譲渡所得）にかかる税金についても理解しておく必要があります。

株式譲渡所得とは

株式譲渡所得とは、株式を売却した際に得られる利益のことです。具体的には、「譲渡収入金額」から「取得費」と「譲渡費用」を差し引いた金額が株式譲渡所得となります。この所得に対して、所得税と住民税が課税されます。

譲渡収入金額

株式を売却して実際に受け取った金額のことです。売却手数料などの費用を差し引いた金額となります。

取得費

株式を取得するために要した費用のことです。具体的には、以下の費用が含まれます。

購入代金

株式購入時の手数料

株式分割や株式併合に伴い取得した株式の場合は、その株式の取得費

譲渡費用

株式を譲渡するために要した費用のことです。具体的には、以下の費用が含まれます。

株式売却時の手数料

株式の保管費用

株式譲渡所得の計算方法

株式譲渡所得は、以下の計算式で求められます。

株式譲渡所得 = 譲渡収入金額 - 取得費 - 譲渡費用

例えば、1株1,000円で取得した株式を1株1,500円で1,000株売却し、売却手数料として5,000円かかった場合、株式譲渡所得は以下のようになります。

譲渡収入金額: 1,500円/株 × 1,000株 = 1,500,000円

取得費: 1,000円/株 × 1,000株 = 1,000,000円

譲渡費用: 5,000円

株式譲渡所得: 1,500,000円 - 1,000,000円 - 5,000円 = 495,000円

株式譲渡所得にかかる税金

株式譲渡所得に対する税金は、原則として「申告分離課税」が適用されます。申告分離課税とは、他の所得と分けて申告し、税率も分離して計算する方式です。

申告分離課税における税率は、以下の通りです。

所得税: 一律20.315% (所得税15%、復興特別所得税0.315%)

住民税: 一律10%

上記の例の場合、株式譲渡所得495,000円に対して、約150,000円の税金がかかることになります。

特定口座と一般口座

株式投資を行う口座には、「特定口座」と「一般口座」の2種類があります。特定口座は、株式譲渡所得等の計算や納税を証券会社に代行してもらえる便利な口座です。一方、一般口座は、自分で確定申告を行う必要があります。

特定口座には、「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2つのタイプがあります。「源泉徴収あり」を選択すると、証券会社が株式譲渡所得税を源泉徴収し、納税まで代行してくれます。「源泉徴収なし」を選択した場合は、確定申告時に自分で納税する必要があります。

株式譲渡損失の損益通算

株式投資では、利益が出ることもあれば、損失が出ることもあります。株式を売却して損失が出た場合、その損失を「株式譲渡損失」といいます。株式譲渡損失は、一定の要件を満たせば、株式譲渡所得と損益通算することができます。

損益通算とは、利益と損失を相殺して、課税対象となる所得を減らすことができる制度です。株式譲渡損失を損益通算することで、納める税金を減らすことができます。

株式譲渡に関する税金情報の入手先

株式譲渡に関する税金は、複雑な制度であるため、国税庁株式譲渡パンフレットや国税庁のウェブサイトなどを参考に、最新の情報を確認することが重要です。

まとめ

株式投資を行う上で、税金に関する知識は欠かせません。国税庁株式譲渡パンフレットなどを活用し、ご自身の投資スタイルに合った税金対策を行うようにしましょう。