情報請求権株式行使による企業分析手法

情報請求権株式とは

情報請求権株式とは、会社法上の株式の一種であり、株主総会における議決権を持たない代わりに、会社に対して特定の情報提供を請求できる権利（情報請求権）が付与された株式のことです。従来の株式は、議決権の有無や内容によって種類株式として発行されてきましたが、2005年の会社法改正により、新たに情報請求権株式が創設されました。

情報請求権株式の発行目的

情報請求権株式の発行目的は、主に以下の2点です。

1. 企業の資金調達手段の多様化

議決権を制限することで、経営への影響力を抑えつつ、資金調達を行うことができます。これは、ベンチャー企業など、経営の自由度を維持しながら資金調達をしたい企業にとって有効な手段となります。

2. 企業情報の透明性向上

情報請求権株式の保有者からの情報請求により、企業は積極的に情報開示を行う必要が生じます。これにより、企業情報の透明性が高まり、投資家保護の観点からも期待されています。

情報請求権株式の内容

情報請求権株式の内容は、会社法や定款で定められます。具体的には、以下の点が規定されます。

情報請求の対象となる事項

情報請求の方法

情報提供の時期

情報提供の費用負担

情報請求の対象となる事項は、会社の業務執行状況や財産状況など、投資家が投資判断を行う上で必要となる情報とされています。ただし、会社の重要な秘密事項や競争上の地位を害するおそれのある情報については、請求の対象から除外することも可能です。

情報請求権株式のメリット・デメリット

メリット

企業にとっては、経営への影響を抑えつつ資金調達が可能になる。

投資家にとっては、議決権がない代わりに、必要な情報を取得できる。

企業情報の透明性向上につながる。

デメリット

情報請求権の範囲が限定的である場合、投資家にとって十分な情報が得られない可能性がある。

情報請求の手続きが煩雑である場合、投資家にとって使い勝手が悪い。

企業にとっては、情報開示の手間やコストが増加する可能性がある。

情報請求権株式の今後の展望

情報請求権株式は、まだ新しい制度であるため、発行事例は多くありません。しかし、企業の資金調達ニーズの多様化や、企業情報開示の重要性の高まりを背景に、今後、発行が増加していく可能性があります。特に、ベンチャー企業や中小企業においては、資金調達手段の一つとして、注目されています。