ダウ化工株式会社社名変更後化学業界再編進むか

ダウ化工株式会社の社名変更：新生「Dow Inc.」の船出

2019年4月1日、世界的な化学メーカーであるダウ・デュポンは、事業の分離に伴い、素材科学事業を担う新会社「ダウ（Dow Inc.）」を設立しました。これに伴い、日本法人であるダウ化工株式会社も社名を「ダウ・ケミカル日本株式会社」に変更しました。これは、100年を超える歴史を持つダウにとって、新たな章の始まりを告げるものでした。本稿では、ダウ化工株式会社社名変更の背景とその影響、そして新生ダウの目指す未来について考察していきます。

世界的な企業再編の波とダウ・デュポンの誕生

21世紀に入り、世界経済はグローバル化とデジタル化の波にさらされ、企業はかつてないスピードで変化に対応することが求められるようになりました。この流れの中で、巨大企業によるM&Aや事業再編も活発化し、化学業界もその例外ではありませんでした。ダウ・ケミカルとデュポンも、2017年に1300億ドル規模の合併を行い、ダウ・デュポンという巨大企業を誕生させました。

この合併は、両社の強みを生かし、より競争力の高い企業体を作ることを目的としていました。しかし、巨大化した組織は、意思決定の遅延や柔軟性の欠如といった課題も抱えていました。そこでダウ・デュポンは、合併からわずか2年後、再び事業の分離を決断します。素材科学、特殊化学品、農業関連の3つの独立した企業に分社化することで、それぞれの事業に特化した戦略を展開し、市場の変化により迅速に対応することを目指したのです。

新生ダウの誕生とダウ化工株式会社社名変更の意義

2019年4月、ダウ・デュポンの素材科学事業を担う新会社「Dow Inc.」が設立され、ダウは新たなスタートを切りました。ダウは、プラスチック、工業用中間体、コーティング、シリコーンなどを提供する、世界最大級の素材科学会社です。100年以上にわたる歴史とイノベーションの伝統を受け継ぎながら、より持続可能で革新的なソリューションを提供することで、世界経済の発展に貢献することを目指しています。

日本においても、ダウ・ケミカル日本株式会社は、ダウ化工株式会社社名変更を機に、新生ダウのビジョンを具現化していくことを表明しました。長年培ってきた技術力と顧客基盤を生かしながら、日本市場におけるプレゼンスをさらに高め、持続可能な社会の実現に貢献していくとしています。

ダウ・ケミカル日本株式会社の未来：持続可能な社会への貢献

ダウ・ケミカル日本株式会社は、社名変更後も、日本市場における素材科学のリーディングカンパニーとしての地位を確固たるものにすることを目指しています。特に注力しているのは、以下の3点です。

1. イノベーションの加速：

ダウ・ケミカル日本株式会社は、世界トップレベルの研究開発力を持つダウのネットワークを最大限に活用し、日本市場のニーズに合致した革新的な製品やソリューションを提供していきます。特に、自動車軽量化材料、高機能包装材料、省エネルギー建築材料など、社会課題の解決に貢献できる分野に注力していきます。

2. サステナビリティの推進：

世界的な課題である環境問題への対応は、ダウ・ケミカル日本株式会社にとっても重要なテーマです。地球環境に配慮した製品開発や製造プロセスを積極的に推進し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。具体的には、CO2排出量の削減、プラスチックのリサイクル、水資源の保全などに取り組んでいます。

3. 人材育成とダイバーシティの推進：

ダウ・ケミカル日本株式会社は、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できるような働きがいのある職場環境づくりに力を入れています。また、多様な人材が活躍できるよう、ダイバーシティ＆インクルージョンの推進にも積極的に取り組んでいます。

ダウ・ケミカル日本株式会社は、ダウ化工株式会社社名変更を新たな出発点とし、日本市場におけるプレゼンスをさらに高めていきます。イノベーション、サステナビリティ、ダイバーシティをキーワードに、持続可能な社会の実現に貢献していきます。