株式贈与契約書作成における法的留意点と注意点。

株式贈与契約書とは

株式贈与契約書とは、会社が発行する株式を無償で譲渡する際に、贈与者（株式を渡す側）と受贈者（株式を受け取る側）との間で締結される契約書です。この契約書は、贈与の条件や当事者の権利義務を明確化し、将来的なトラブルを未然に防ぐために重要な役割を果たします。

株式贈与契約書の必要性

口約束でも株式の贈与は成立しますが、後々に当事者間でトラブルが発生する可能性があります。例えば、贈与の条件が曖昧なまま贈与が行われた場合、贈与後に思わぬ税金が発生したり、受贈者が株式を勝手に処分してしまうといった問題が生じることがあります。株式贈与契約書を作成しておくことで、贈与の条件や当事者の権利義務が明確になり、このようなトラブルを避けることができます。また、贈与税の納税や株式の名義変更などの手続きにおいても、契約書の存在が重要となります。

株式贈与契約書書き方の基本

株式贈与契約書を作成する際には、以下の項目を盛り込むことが一般的です。

1. 当事者の特定

贈与者（株式を渡す側）と受贈者（株式を受け取る側）の氏名、住所、会社名などの情報を明確に記載します。会社が贈与者の場合は、会社法上の登記内容と一致しているか確認が必要です。

2. 贈与株式の内容

贈与する株式の種類、数、発行会社を具体的に記載します。株式の種類によって議決権の有無などが異なるため、注意が必要です。

3. 贈与の目的

株式を贈与する目的を具体的に記載します。例えば、事業承継のため、親族への財産分与のため、といった目的を記載します。

4. 贈与の時期

株式の贈与がいつ成立するかを明確に記載します。契約締結日、または特定の日付を指定するのが一般的です。

5. 費用負担

株式の贈与に伴う税金や手数料などの費用負担について、誰がどのように負担するかを明確に記載します。

6. 契約の解除

贈与契約を解除できる条件を具体的に記載します。例えば、贈与者が死亡した場合、受贈者が贈与を辞退した場合などを記載します。

7. 紛争解決

贈与契約に関して当事者間で紛争が生じた場合の解決方法を記載します。裁判所の管轄などを定めておくことが一般的です。

株式贈与契約書書き方の注意点

株式贈与契約書を作成する際には、以下の点に注意する必要があります。

1. 法律の専門家への相談

株式贈与は法律や税金に関する専門知識を必要とするため、弁護士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、トラブルを未然に防ぎ、円滑な贈与手続きを進めることができます。

2. 会社法などの関連法令の確認

株式贈与は会社法などの関連法令の規定に従う必要があります。会社法の規定に違反する内容の契約は無効となる可能性があるため、注意が必要です。

3. 印紙税

株式贈与契約書には、印紙税の納付が必要となる場合があります。印紙税の金額は、契約書の記載金額によって異なります。

株式贈与契約書の作成例

以下は、株式贈与契約書の作成例です。ただし、これはあくまで一例であり、実際の契約書は個々のケースに応じて作成する必要があります。

株式贈与契約書

株式会社〇〇（以下「甲」という）と□□□□（以下「乙」という）は、甲が保有する乙に対する株式の贈与につき、以下のとおり契約を締結する。

第1条（贈与株式）

甲は、乙に対し、甲が保有する株式会社△△の普通株式〇〇株（以下「本件株式」という）を贈与する。

第2条（贈与の時期）

本件株式の贈与は、本契約締結日に効力を生じるものとする。

第3条（費用負担）

本件株式の贈与に伴い発生する、登録免許税、印紙税その他の費用は、乙の負担とする。

第4条（契約の解除）

乙が、本契約締結後、本件株式の贈与を受けることを辞退した場合、本契約は解除されるものとする。

第5条（紛争解決）

本契約に関して紛争が生じた場合は、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

上記契約を証するするため、本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。

令和〇年〇月〇日

甲 株式会社〇〇

代表取締役社長〇〇〇〇印

乙 □□□□印

株式贈与契約書は専門家に相談して作成を

株式贈与契約書は、贈与者と受贈者の権利義務を明確にするための重要な書類です。株式贈与契約書書き方については、専門家のアドバイスを受けながら、適切な内容で作成するようにしましょう。