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株式連続譲渡決議における株主の権利と責任

更新:2024-06-15 04:32:15読む:113

## 株式連続譲渡決議とは

株式連続譲渡決議とは、会社法第175条の規定に基づき、会社がその発行する株式を特定の者に対して連続して譲渡することを決議するものです。この決議により、会社は株式の公開買付けや第三者割当増資などによる株主構成の変更を回避することができます。

## 株式連続譲渡決議の特徴

株式連続譲渡決議には、以下のような特徴があります。

決議の要件: 議決権の過半数による特別決議によって決議されます。

株式連続譲渡決議

効力: 決議日から2年間効力を持ちます。

譲渡可能株式数: 発行済み株式総数のおおむね3分の1以内です。

譲渡対象者: 特定の者(自然人、法人、投資ファンドなど)を指定します。

譲渡目的: 株主構成の維持、経営権の安定化、事業承継などです。

## 株式連続譲渡決議のメリット

株式連続譲渡決議

株式連続譲渡決議には、以下のようなメリットがあります。

株主構成の安定化: 特定の者に株式を譲渡することで、株主構成の変化を防止します。

公開買付け対策: 公開買付け者に株式を大量に取得されることを回避します。

第三者割当増資対策: 第三人への新規株式発行による株主構成の変更を妨げます。

経営権の安定化: 経営陣が株式を譲り受けることで、経営権の安定化を図ります。

事業承継: 株主が事業を後継者に譲渡する際に利用されます。

## 株式連続譲渡決議のデメリット

株式連続譲渡決議には、以下のようなデメリットもあります。

市場性低下: 特定の者に大量の株式が集中するため、株式の市場性が低下する可能性があります。

株式価値の低下: 譲渡によって株式の供給が増加し、株式価値の低下につながる可能性があります。

株主の権利制限: 特定の者に株式が集中することで、その他の株主の権利が制限される可能性があります。

資本金制約: 譲渡によって資本金が減少するため、債権者の保護に影響が出る場合があります。

インサイダー取引の懸念: 譲渡対象者が会社の内部者である場合、インサイダー取引の懸念が生じる可能性があります。

## 株式連続譲渡決議の活用事例

株式連続譲渡決議は、以下のような場面で活用されています。

経営者による事業承継: 経営者が後継者に株式を譲り渡す際に利用されます。

主要株主間の株式移譲: 主要株主が保有する株式を他の主要株主に譲り渡す際に利用されます。

投資ファンドによる株式取得: 投資ファンドが会社に株式投資を行う際に利用されます。

M&A対策: 他社から敵対的買収やM&Aの提案があった際に、経営陣が自社の株式を取得するために利用されます。

経営改善委託: 経営不振の会社が事業再生を図る際に、経営改善委託会社に株式を譲り渡す際に利用されます。

## 株式連続譲渡決議の課題

株式連続譲渡決議は便利な制度ですが、以下の課題もあります。

株主平等の原則との関係: 特定の者に株式を集中させることで、株主平等の原則に反する可能性があります。

利益相反の懸念: 経営陣が自らのために株式連続譲渡決議を利用することで、利益相反の懸念が生じる可能性があります。

株主総会での透明性: 株式連続譲渡決議の決議過程や理由が、株主総会において十分に説明される必要があります。

市場の適切な機能: 株式連続譲渡決議が市場の適切な機能を阻害しないように、その運用が厳格に管理される必要があります。

株式連続譲渡決議

法整備の不十分性: 株式連続譲渡決議については、法整備が不十分であり、解釈や運用が分かれる場合があります。

以上のように、株式連続譲渡決議は、会社にとって株主構成の安定化や経営権の安定化を図る上で有効な手段となり得ますが、デメリットや課題も存在します。そのため、株式連続譲渡決議の利用にあたっては、そのメリットとデメリットを慎重に検討することが重要です。

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