生前対策重要性高まる相続株式債務超過問題解決への道筋

生前相続における株式対策：債務超過の場合の対処法

近年、超高齢化社会の到来とともに、相続や事業承継対策への関心がますます高まっています。特に、会社経営者が保有する株式は、相続財産の中でも大きな割合を占めることが多く、その対策は非常に重要です。中でも、生前相続株式債務超過という問題は、早急な対応が必要となるケースの一つです。

株式の評価と債務超過

相続が発生すると、相続税の課税対象となる財産の評価が行われます。株式の場合、その評価方法には、原則評価、類似業種比準価額方式、純資産価額方式など、いくつかの方法があります。会社の業績が好調で、純資産が多い場合には、これらの評価方法によって株式の評価額が高額になる傾向があります。一方で、会社の業績が悪化し、債務超過に陥っている場合には、株式の評価額はゼロまたはマイナスになることがあります。これが、生前相続株式債務超過と呼ばれる状況です。

債務超過の株式を相続することのリスク

債務超過の株式を相続すると、以下のようなリスクが存在します。

1. 相続税の負担

債務超過の株式は、評価額がゼロまたはマイナスになるため、相続税の課税対象からは外れると考えがちです。しかし、実際には、相続放棄をしない限り、債務超過の状態でも株式は相続財産に含まれます。つまり、相続税の申告義務が生じ、場合によっては、他の相続財産に課税される可能性も出てきます。

2. 会社の再建負担

債務超過の会社を引き継いだ場合、その再建には多大な時間と労力が必要となります。また、経営状況によっては、追加の資金調達が必要となるケースもあり、相続人にとって大きな負担となる可能性があります。

生前相続株式債務超過への対策

では、生前相続株式債務超過を避けるためには、どのような対策を講じれば良いのでしょうか。主な対策としては、以下の３つが挙げられます。

1. 事業の立て直し

最も根本的な解決策は、会社の業績を回復させ、債務超過状態から脱却することです。そのためには、経営計画の見直し、新規事業の展開、コスト削減など、抜本的な改革が必要となる場合もあります。

2. 第三者への譲渡

事業の立て直しが難しい場合には、信頼できる第三者に株式を譲渡するという方法も考えられます。M&A仲介会社などを活用し、適切な相手を探すことが重要です。ただし、譲渡価格によっては、贈与税の対象となる可能性もあるため、注意が必要です。

3. 生前贈与の活用

相続税は、財産の評価額が高額になるほど、税率も高くなるという累進課税制度を採用しています。そのため、生前に株式を少しずつ贈与することで、相続税の負担を軽減できる可能性があります。ただし、贈与税の非課税枠を超える部分については、贈与税が課税されるため、注意が必要です。

専門家への相談

生前相続株式債務超過への対策は、会社の状況や相続人の家族構成などによって、適切な方法が異なります。そのため、安易な判断は避け、税理士や弁護士などの専門家に相談し、最適な対策を検討することが大切です。