額面株式制度における意味と機能分析

額面意味株式とは

額面意味株式とは、株券に額面金額が記載されている株式のことを指します。従来、日本の株式会社で発行される株式のほとんどは額面株式でした。しかし、2001年の商法改正により、会社設立時の手続き簡素化や資本調達の柔軟性を高めるため、額面金額のない「無額面株式」の発行が認められるようになりました。この改正以降、新規に設立される株式会社の多くは無額面株式を採用しており、現在では額面株式は少数派となっています。

額面意味株式と無額面株式の違い

額面意味株式と無額面株式の最大の違いは、株券に額面金額が記載されているかどうかです。額面意味株式の場合、株券に「1株につき○○円」といった形で額面金額が明記されます。一方、無額面株式には額面金額の記載がありません。この違いにより、以下のような影響が生じます。

1. 発行価格の決定方法

額面意味株式は、原則として額面金額以上の価格で発行する必要があります。一方、無額面株式にはこの制限がなく、会社が自由に発行価格を決定できます。そのため、無額面株式の方が資金調達の柔軟性が高いと言えます。

2. 株主の責任

額面意味株式の場合、株主は、保有する株式の額面金額を限度として、会社債権者に対する責任を負います。一方、無額面株式にはこのような制限はなく、株主は出資した金額を超えて責任を負うことはありません。

3. 会計処理

額面意味株式の場合、発行時の資本金は、発行済株式数に額面金額を乗じた金額となります。一方、無額面株式の場合、発行時の資本金は、会社法の規定に従って自由に定めることができます。

額面意味株式のメリット・デメリット

額面意味株式には、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

1株当たりの価値がわかりやすい。

従来からある制度のため、企業や投資家にとって理解しやすい。

デメリット

額面金額が低く設定されている場合、資金調達の際に不利になる可能性がある。

無額面株式に比べて、手続きが煩雑になる場合がある。

額面意味株式の現状

前述の通り、2001年の商法改正以降、無額面株式の発行が認められるようになったことで、新規に設立される株式会社の多くは無額面株式を採用するようになりました。そのため、現在では額面株式は少数派となっています。しかし、既存の株式会社の中には、額面意味株式を発行し続けている企業も少なくありません。これらの企業は、従来の制度を維持することで、株主の理解を得やすくしたり、会計処理を簡素化したりといったメリットを享受しています。