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個人株式差し押さえ

更新:2024-06-08 05:27:40読む:133

個人株式差し押さえの概要と実務

個人株式差し押さえとは、債権者が、債務者が保有する株式を差し押さえることで、その株式を換価し、債権の回収を図る手続きです。これは、金銭債権を有する債権者が、債務者に対して行うことができる強制執行の一種です。本稿では、個人株式差し押さえの概要と実務について詳しく解説していきます。

個人株式差し押さえの対象となる株式

個人株式差し押さえの対象となる株式は、原則として、債務者が保有するすべての株式です。具体的には、株式会社の発行する普通株式、優先株式、新株予約権などが含まれます。ただし、以下の株式は、差し押さえることができません。

記名式株式のうち、譲渡制限株式

個人株式差し押さえ

質権、譲渡担保などの担保権が設定されている株式

会社法上の譲渡制限規定により譲渡が制限されている株式

個人株式差し押さえの手続き

個人株式差し押さえの手続きは、以下のとおりです。

1. 債権名義の取得

債権者は、まず、債務者に対する金銭債権を証明する債権名義を取得する必要があります。債権名義としては、判決、仮執行宣言付支払督促、和解調書、調停調書などが挙げられます。

2. 差押命令の申立て

債権者は、債権名義に基づき、債務者の株式を差し押さえるための差押命令を、管轄の地方裁判所に申し立てます。申立書には、債権者、債務者、第三債務者(株式を発行した会社)の氏名または名称、住所、差し押さえる株式の種類、数などを記載する必要があります。

3. 差押命令の送達

裁判所は、申立てが認められると、差押命令を発令し、債権者、債務者、第三債務者に送達します。第三債務者に対する差押命令の送達は、債務者に対する差押命令の送達と同時または後に行われます。

4. 株式の明示・提出

第三債務者は、差押命令の送達を受けた後、遅滞なく、差し押さえられた株式を明示し、裁判所に提出する義務があります。株式の明示とは、差し押さえられた株式の種類、数、株主名簿上の記載などを明らかにすることです。

5. 競売・売却

裁判所は、差し押さえられた株式を競売に付し、または債権者の申立てにより、売却します。競売または売却によって得られた売却代金は、債権者の債権の弁済に充てられます。

個人株式差し押さえの効果

個人株式差し押さえの効果は、以下のとおりです。

1. 処分禁止効果

差押命令の送達後、債務者は、差し押さえられた株式を自由に処分することができなくなります。具体的には、売却、譲渡、質入れなどが禁止されます。

2. 換価可能性

債権者は、差し押さえられた株式を競売または売却によって換価し、債権の回収に充てることができます。

個人株式差し押さえにおける留意点

個人株式差し押さえを行う際には、以下の点に留意する必要があります。

1. 株式の評価

株式は、価格変動の大きい資産であるため、差し押さえの時点における評価額を適切に判断する必要があります。評価額が低すぎると、債権回収額が少なくなる可能性があり、高すぎると、競売が成立しない可能性があります。

個人株式差し押さえ

2. 費用対効果

個人株式差し押さえには、裁判所への手数料、弁護士費用などの費用がかかります。そのため、差し押さえる株式の価値や債権回収の見込みなどを考慮し、費用対効果を十分に検討する必要があります。

3. 第三者の権利

差し押さえる株式に、質権などの担保権が設定されている場合、債権者は、その担保権者の権利を侵害することができません。また、会社法上の譲渡制限規定により譲渡が制限されている株式も差し押さえることができません。

まとめ

個人株式差し押さえは、債権者が債務者から債権を回収するための有効な手段となりえます。ただし、手続きが複雑であり、留意点も多いため、専門家である弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、債権回収の状況に応じて、最適な方法をアドバイスしてくれます。

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