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取引相場のない株式評価営業権

更新:2024-06-08 05:15:34読む:139

取引相場のない株式評価と営業権の関係

企業価値評価において、特にM&Aや事業承継等を検討する際には、対象会社の適正な価値を把握することが不可欠です。企業価値は、大きく分けて「事業価値」と「資産価値」の2つから成り立ちます。事業価値は、将来的にその事業がどれだけの利益を生み出すかという収益力に着目した価値であり、資産価値は、現時点で保有する資産から負債を差し引いた純資産価値を指します。そして、事業価値と資産価値を合計したものが、企業価値となります。

取引相場のない株式評価

企業価値評価において、特に重要な要素の一つが「営業権」です。営業権とは、企業が顧客との良好な関係、ブランド力、技術力、ノウハウなど、目に見える形では捉えにくい無形資産を総合的に評価したものです。M&Aなどにおいては、買収価格と純資産価値の差額が営業権として計上されます。つまり、営業権は、企業が将来的に収益を生み出す潜在能力を表す指標とも言えます。

取引相場のない株式評価における課題

取引相場のない株式評価

企業価値評価の対象となる企業が上場企業であれば、株式市場で日々形成される株価を参考に、比較的容易に企業価値を算定することができます。しかし、非上場企業の場合は、株式市場での取引が行われていないため、取引相場のない株式評価が必要となります。取引相場のない株式評価は、上場企業の株価のように客観的な指標が存在しないため、評価者の専門知識や経験に基づいた分析が求められます。そのため、評価方法によって算出される企業価値にばらつきが生じやすく、関係者間で合意形成が難しいという課題があります。

取引相場のない株式評価における営業権の扱い

取引相場のない株式評価において、特に重要な要素となるのが営業権の評価です。営業権は、企業の将来収益力に大きく影響を与える要素である一方、その評価方法が複雑で、評価者によって判断が分かれる可能性があります。そのため、取引相場のない株式評価においては、営業権の評価方法について、関係者間で十分な協議と合意形成が不可欠となります。

主な営業権評価方法

取引相場のない株式評価における営業権評価方法としては、以下のような方法が挙げられます。

類似会社比較法:類似する事業内容や規模の上場企業の財務データ等を参考に、対象企業の営業権を評価する方法です。ただし、完全に一致する類似企業を見つけることは難しく、評価者の主観が入り込む余地が大きいという課題があります。

DCF法(割引キャッシュフロー法):対象企業の将来のキャッシュフローを予測し、現在価値に割り引くことで、企業価値を算定する方法です。将来予測に基づくため、客観的なデータに基づいた評価が難しいという側面があります。

収益還元法:対象企業の過去の収益実績を基に、将来の収益を予測し、一定の還元率を用いて現在価値に割り引くことで、企業価値を算定する方法です。過去の収益実績が将来も継続するという前提に立つため、将来の事業環境変化等を考慮する必要がある点が課題となります。

これらの評価方法を単独で用いるのではなく、複数の方法を組み合わせることで、より精度の高い評価を行うことが重要となります。

取引相場のない株式評価と営業権に関する留意点

取引相場のない株式評価と営業権については、以下の点に留意する必要があります。

取引相場のない株式評価

評価の目的を明確にする:M&A、事業承継、株式公開準備など、評価の目的によって、重視すべき評価要素や評価方法が異なります。そのため、評価に着手する前に、その目的を明確にしておくことが重要です。

専門家の意見を踏まえる:取引相場のない株式評価は、専門性の高い分野であるため、税理士や公認会計士などの専門家の意見を踏まえることが重要です。専門家は、豊富な知識や経験に基づき、適切な評価方法の選定や評価額の算定をサポートしてくれます。

関係者間の合意形成を図る:取引相場のない株式評価は、評価方法によって算出される企業価値にばらつきが生じやすいため、関係者間で十分な協議と合意形成が不可欠となります。特に、M&Aなどにおいては、売主と買主の間で、評価額に関する認識の齟齬が生じないよう、事前に十分なコミュニケーションを図ることが重要です。

取引相場のない株式評価は、企業の将来価値を左右する重要なプロセスです。そのため、専門家の意見を踏まえながら、適切な評価方法を選択し、関係者間で十分な協議と合意形成を図ることが重要となります。

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