ホームページ > 金融市場

従業員株式買い戻し条項の法的性質

更新:2024-06-08 04:52:30読む:70

従業員株式買い戻し条項:企業と従業員双方にとってのメリットと注意点

スタートアップ企業や成長企業において、従業員に対するインセンティブとして自社株を付与するケースが増加しています。従業員に株式を付与することで、従業員のモチベーション向上やエンゲージメント強化、優秀な人材の確保といった効果が期待できます。一方で、従業員が退職する際などに、発行済株式総数の増加や株主構成の変動といった事態を避けるために、従業員株式買い戻し条項を定款に規定することが一般的です。

従業員株式買い戻し条項とは

従業員株式買い戻し条項

従業員株式買い戻し条項とは、従業員が退職、死亡、解雇などの特定の事由に該当した場合に、会社または会社が指定する者が、当該従業員が保有する株式を買い戻すことができる旨を定めた条項です。この条項を設けることで、従業員が退職する際に、会社が株式を買い戻すことができるため、株式の分散を防ぎ、経営の安定化を図ることができます。また、従業員にとっては、株式を円滑に現金化できるというメリットがあります。

従業員株式買い戻し条項のメリット

企業側のメリット

従業員株式買い戻し条項を設けることで、企業は以下のようなメリットを享受できます。

経営権の安定化:株式の分散を防ぎ、経営権の安定化を図ることができます。

株主構成の管理:従業員以外の株主比率を一定に保つことができます。

情報漏洩リスクの軽減:退職した従業員が競合他社に株式を売却することを防ぎ、情報漏洩リスクを軽減できます。

従業員側のメリット

従業員にとっても、従業員株式買い戻し条項は以下のようなメリットをもたらします。

株式の現金化:退職時に株式を会社に買い取ってもらうことで、株式を円滑に現金化できます。

株式価値の向上へのモチベーション:会社業績向上への貢献意欲を高め、株式価値向上へのモチベーションに繋がります。

従業員株式買い戻し条項の設定

従業員株式買い戻し条項を設定する際には、以下の点について検討する必要があります。

買い戻し事由:退職、死亡、解雇など、どのような場合に買い戻しを発生させるかを明確に定める必要があります。

買い戻し価格:時価、固定価格、あらかじめ定められた算定式など、買い戻し価格の決定方法を明確にする必要があります。

買い戻し義務者:会社が買い戻すのか、会社が指定する第三者が買い戻すのかを明確にする必要があります。

資金調達方法:買い戻し資金をどのように調達するかを事前に検討しておく必要があります。

従業員株式買い戻し条項に関する注意点

従業員株式買い戻し条項

従業員株式買い戻し条項を設定する際には、以下の点に注意する必要があります。

従業員の権利保護:買い戻し価格が従業員にとって不利にならないよう、適切な価格設定を行う必要があります。

税務上の取扱い:買い戻しによって従業員に所得税等が発生するため、税務上の取扱いについて事前に確認しておく必要があります。

専門家への相談:従業員株式買い戻し条項の設定は複雑なため、弁護士や税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

従業員株式買い戻し条項は、企業と従業員双方にとってメリットのある制度です。設定の際には、上記の点に注意し、専門家のアドバイスを受けながら、自社にとって最適な条項を定めることが重要です。

Tagsカテゴリ