株式公募私募発行人登録

株式公募私募発行人登録制度の概要

株式公募私募発行人登録制度は、2005年4月に施行された金融商品取引法に基づき創設された制度です。従来の証券取引法の下では、株式の公募や私募を行う際には、それぞれ個別に発行登録や届出を行う必要がありました。しかし、この制度の導入により、一定の要件を満たす発行人は、あらかじめ株式公募私募発行人登録を行うことで、その後、必要な書類を提出するだけで、迅速かつ柔軟に資金調達を行うことが可能となりました。

登録のメリット

株式公募私募発行人登録の主なメリットは以下の点が挙げられます。

手続きの簡素化：登録後は、個別案件ごとの発行登録や届出が不要となり、必要な書類の提出のみで資金調達が可能となります。

資金調達の迅速化：手続きの簡素化により、資金調達にかかる期間を短縮することができます。

資金調達の柔軟性向上：市場環境の変化に応じて、迅速かつ柔軟に資金調達を行うことが可能となります。

投資家へのアピール：登録企業として、財務状況やガバナンス体制等の情報開示が充実することで、投資家からの信頼性が高まり、円滑な資金調達につながることが期待されます。

登録の要件

株式公募私募発行人登録を行うためには、以下の要件を満たしている必要があります。

資本金等の額が5億円以上であること

事業の継続性及び収益性に関する基準を満たしていること

財務諸表等の適正性に関する基準を満たしていること

ガバナンス体制に関する基準を満たしていること

その他、金融庁が定める基準を満たしていること

登録制度の活用状況

株式公募私募発行人登録制度は、導入以来、多くの企業に活用されており、我が国における資金調達の重要な枠組みの一つとなっています。特に、近年では、新規上場を目指す企業だけでなく、既に上場している企業においても、機動的な資金調達手段として、登録制度の利用が増加傾向にあります。

登録企業の動向

株式公募私募発行人登録を行っている企業は、業種や規模も多岐に渡り、その活用方法は様々です。成長資金の調達、M&A資金の調達、事業再生資金の調達など、それぞれの企業のニーズに応じた資金調達が可能となっています。

今後の展望

株式公募私募発行人登録制度は、今後も、我が国企業の資金調達の選択肢の一つとして、重要な役割を果たしていくことが期待されます。一方で、市場環境の変化や投資家ニーズの多様化等を踏まえ、制度の更なる改善や充実を図っていくことも重要です。例えば、登録要件の緩和や手続きの更なる簡素化などが検討課題として挙げられます。