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株式役員賃借議決権行使による企業価値向上戦略

更新:2024-06-08 02:21:57読む:177

株式役員賃借議決権とは何か

株式役員賃借議決権とは、会社法上の概念ではなく、会社と役員との間で締結される契約に基づき、役員が自己の保有する株式に係る議決権を会社または会社が指定する者に貸し出すことをいいます。この契約は、一般的に「議決権行使貸借契約」または「議決権信託契約」などと呼ばれます。

株式役員賃借議決権の目的

株式役員賃借議決権を設定する目的は、会社によって様々ですが、主なものとしては以下の点が挙げられます。

経営の安定化:経営陣の交代劇や敵対的買収などから会社を守るため、安定株主として議決権を確保する。

経営権の承継:後継者に円滑に経営権を移行させるため、一定期間、現経営者が議決権を保有し続ける。

株主総会対策:株主提案への対応や重要議案の承認を得やすくするため、会社側が議決権を掌握する。

株式役員賃借議決権の法的問題点

株式役員賃借議決権は、その性質上、以下の様な法的問題点を孕んでいます。

株主平等の原則との関係:議決権は株主の権利であり、その行使は株主の自由であるべきという原則との関係が問題となる。

役員の忠実義務との関係:役員は、会社に対して忠実な義務を負っており、自己の利益のために議決権を行使してはならないという原則との関係が問題となる。

会社法上の制限:会社法上、議決権の制限に関する規定(例えば、会社法108条、109条)との関係が問題となる。

株式役員賃借議決権の有効性

株式役員賃借議決権の有効性は、上記の法的問題点を踏まえ、個々の契約内容や設定の目的などを総合的に判断して決定されます。一般的には、以下の様な点が考慮されます。

契約の対価の有無及び相当性

議決権行使の自由の程度

設定の目的の相当性

株主総会における情報開示の状況

株式役員賃借議決権に関する裁判例

株式役員賃借議決権に関する裁判例は、過去の判例を参考にしながら、最新の判例も確認することが重要です。最高裁判例の中には、一定の要件の下で株式役員賃借議決権の有効性を認めたものもあれば、無効としたものもあります。個々の事案における具体的な事情を踏まえて判断されるため、安易な結論を避けるべきです。

株式役員賃借議決権の導入を検討する際の注意点

株式役員賃借議決権

株式役員賃借議決権の導入を検討する際には、以下の様な点に注意する必要があります。

法的リスクを十分に検討し、弁護士等の専門家の意見を聴取すること

契約内容を明確にし、議決権行使の範囲や対価などを明確に定めること

株主総会において、議決権行使貸借契約に関する十分な情報開示を行うこと

会社法や裁判例の動向を注視し、必要に応じて契約内容を見直すこと

株式役員賃借議決権は、適切に運用されれば、経営の安定化や円滑な事業承継などに有効な手段となりえます。しかし、その一方で、株主平等の原則や役員の忠実義務との関係で、様々な法的問題点を孕んでいることも事実です。導入を検討する際には、法的リスクを十分に認識した上で、慎重に進める必要があります。

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