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非公開株式譲渡におけるデューデリジェンス調査項目

更新:2024-06-15 03:14:29読む:155

非公開株式譲渡における法的枠組みと実務

企業の資金調達や事業承継等、様々な場面において、株式の譲渡は重要な役割を果たします。中でも、証券取引所を通さない、いわゆる非公開株式譲渡手続きは、近年、その活用が増加傾向にあります。非公開株式譲渡手続きは、公開市場での取引と異なり、当事者間の交渉によって価格や条件が決定されるため、柔軟かつスピーディーな取引が可能となる点が大きなメリットとして挙げられます。

しかし、非公開株式譲渡手続きは、その法的枠組みや実務が複雑であることも事実です。そのため、譲渡当事者は、事前に十分な準備と専門家のアドバイスを受けることが不可欠となります。本稿では、非公開株式譲渡に関する法的枠組みと実務について、基礎的な知識から実務上の留意点まで解説していきます。

1. 非公開株式譲渡の法的根拠と種類

非公開株式譲渡手続き

非公開株式譲渡は、会社法上の「株式の譲渡」に該当し、原則として自由に行うことができます(会社法127条)。ただし、定款で譲渡制限を設けている場合には、その制限に従う必要があります。非公開株式譲渡の種類としては、主に以下の3つが挙げられます。

(1) 相対取引

譲渡人と譲受人が直接交渉を行い、株式を譲渡する方法です。当事者間の合意のみで手続きが進むため、柔軟性が高い点が特徴です。

(2) 第三者割当増資

会社が新たに株式を発行し、特定の第三者(譲受人)に割り当てる方法です。既存株主の持ち株比率が低下するため、経営支配権の変動を伴う場合に多く用いられます。

(3) 株式交換・株式移転

株式交換は、ある会社の株主が保有する株式を、他の会社に全部又は一部を移転させる対価として、当該他の会社の株式を取得する方法です。株式移転は、ある会社の株主が保有する株式の全部を、他の会社に承継させる方法です。いずれも、企業再編やM&Aの手法として用いられます。

2. 非公開株式譲渡手続きの流れ

非公開株式譲渡は、一般的に以下の流れで行われます。

(1) 基本合意

譲渡当事者間で、譲渡価格、譲渡株式数、譲渡日などの基本的な事項について合意します。秘密保持契約もこの段階で締結するのが一般的です。

(2) デューデリジェンス

譲受人は、譲渡会社の財務状況、法務状況、事業状況等を調査します。これにより、譲渡価格の妥当性や潜在的なリスクを評価します。

(3) 最終契約の締結

デューデリジェンスの結果を踏まえ、譲渡条件を最終的に確定し、株式譲渡契約書を締結します。

(4) 株式譲渡実行

契約に基づき、譲渡人は株式を譲渡し、譲受人は譲渡代金を支払います。名義書換などの手続きもこの段階で行われます。

3. 非公開株式譲渡における留意点

非公開株式譲渡を行うにあたっては、以下のような点に留意する必要があります。

(1) 譲渡制限の有無

前述のとおり、定款で譲渡制限が設けられている場合、その制限に従う必要があります。譲渡制限の内容によっては、株主総会の承認を得る必要もあるため、事前に確認が必要です。

(2) 譲渡価格の算定

非公開株式は、公開市場での取引がないため、適正な価格算定が重要な課題となります。一般的には、DCF法、類似会社比較法、純資産法など複数の評価方法を用いて算定します。

(3) 税務上の取扱い

株式譲渡益は、譲渡者にとって課税対象となるため、適切な税務対策が必要となります。譲渡所得の計算方法や税率は、譲渡者の属性(個人・法人)や保有期間によって異なるため注意が必要です。

以上、非公開株式譲渡に関する法的枠組みと実務について解説しました。非公開株式譲渡は、企業にとって重要な経営戦略の一つですが、複雑な手続きと法的リスクを伴います。そのため、専門家のサポートを受けながら、慎重に進めることが重要です。

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