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株式指図権の法的性質

更新:2024-06-08 01:54:11読む:160

株式指図権の概要

株式指図権とは、株式会社の株主が、自己の所有する株式について、その名義書換請求権を、自己に代わって会社に対して行使させる権利をいいます。これは、商法上の制度ではなく、会社法においても明文の規定はありません。しかし、判例および実務上広く認められている権利であり、株式の譲渡や担保設定など、様々な場面で利用されています。

株式指図権の性質

株式指図権は、株主が持つ一種の請求権であり、財産権としての性質を有しています。そのため、譲渡や相続の対象となり、また、差し押さえを受けることもあります。ただし、株式指図権は、あくまでも名義書換請求権を行使させる権利であるため、その行使によって株主としての地位そのものが移転するわけではありません。

株式指図権の発生

株式指図権

株式指図権は、株主と第三者との間における契約によって発生します。典型的な例としては、株式の売買契約において、売主が買主に対して株式指図権を付与する場合が挙げられます。また、金融機関からの融資に際して、借主が貸主に対して担保として株式指図権を設定することも少なくありません。

株式指図権の行使

株式指図権を行使するためには、権利者は会社に対して、自己に代わって名義書換請求権を行使するよう請求しなければなりません。この請求は、書面または口頭で行うことができますが、通常は、権利者が会社に対して「指図書」を提出することによって行われます。

指図書の記載事項

指図書には、少なくとも以下の事項を記載する必要があります。

指図者の氏名または名称および住所

対象となる株式の種類および数

名義書換請求権を行使すべき者の氏名または名称および住所

これらの事項が記載されていない場合、会社は指図書を受理しないか、または指図に従って名義書換手続きを行うことができません。

会社による名義書換

会社は、有効な指図書を受理した場合、遅滞なく名義書換の手続きを行わなければなりません。ただし、名義書換請求権の行使が、会社法または定款に違反する場合など、正当な理由があるときは、会社は名義書換を拒絶することができます。

株式指図権の実務上の意義

株式指図権は、株式の譲渡や担保設定など、様々な場面で利用されています。例えば、株式の売買においては、売主が買主に対して株式指図権を付与することによって、買主は、売主が会社に対して名義書換請求権を行使するまで待つことなく、株式を自由に処分することができます。また、金融機関は、融資に際して借主から株式指図権を取得することによって、担保としての効力を確保することができます。

株式指図権に関する留意点

株式指図権は、実務上非常に有用な制度ですが、その反面、いくつかの留意点があります。例えば、株式指図権は、あくまでも名義書換請求権を行使させる権利であるため、その行使によって株主としての地位そのものが移転するわけではありません。そのため、株主総会における議決権などの権利は、名義書換が完了するまでは、従前の株主が引き続き保有することになります。

株式指図権

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